翻訳・ローカライズ」カテゴリーアーカイブ

【満員御礼】翻訳の専門学校 フェローアカデミー様で「アート翻訳」の講座を行います

翻訳の専門学校「フェローアカデミー」様にて、「日英アート翻訳」について短期集中講座を担当させていただくことになりました。

※4月14日に募集開始しましたが、4月17日時点ですでにキャンセル待ちになっているそうですので、大変申し訳ありませんが、詳細についてはフェローアカデミー様にお問い合わせください。

※おかげさまで盛況のうちに終了いたしました。開催後レポートについては以下をご覧ください。

「アート翻訳」講座を終了いたしました。

短期集中講座 スペシャルプログラム

今、美術がアツイ! インバウンドに欠かせないアート分野の翻訳を学ぶ

http://www.fellow-academy.com/fellow/pages/school/short/SPJT2.jsp

インバウンド、特に観光施設の雄である美術館や博物館には、多くの外国人観光客が押し寄せています。爆買いブームもひと段落し、モノからコトへのシフトが加速している中で、今後さらにミュージアムの役割は大きくなると考えられます。

弊社では、5年前からミュージアム専門として美術・アート翻訳サービスを行っております。

徐々に日本全国のミュージアムの皆様からお問い合わせをいただくようになり、大規模館や中小規模館の展覧会の翻訳などを手掛けるようになっております。

また、ミュージアムでは翻訳のみならず様々なインバウンドサービスが求められており、弊社では現在翻訳を含め、以下の15のサービスをご提供しております。

 

本講座では、アート分野の翻訳という観点から、またミュージアムという現場において、どんな翻訳が求められているのかなど実際の現場からお伝えいたします。

定員16名ということですが、ハイペースでお申し込みをいただいているようですので、ご興味をお持ちの方はぜひお早めにお申し込みをお願いいいたします。

※弊社にお問い合わせ、お申し込みいただくことはできません。フェローアカデミー様のサイトからお申し込みください。


コンスタントに良い品質の訳文を手に入れるための 5 つのポイント

「いったいどうすれば継続的に良い翻訳を手に入れることができるのか」というのはグローバル企業の至上命題です。今回はこのテーマについて考えてみたいと思います。

そもそも「良い翻訳の定義」とは何か

まずはじめに、「良い翻訳」について理解をしなければなりません。なぜなら目指すゴールが違ってしまえば、自ずと辿るプロセスが変わってしまうからです。

弊社の場合では、良い翻訳とは「お客様が望んでいるものを得る状態」として定義しています。

 

翻訳、ローカライズの品質とは

 

この品質を得るために、具体的にどんな準備やステップが必要なのでしょうか。それぞれ解説します。

ポイント 1.  できるだけ早めの案件の打診をする

すでに決まっている翻訳会社があるなら、できるだけ早めに連絡をしましょう。「いつ頃にどのくらいのボリュームの翻訳をお願いする」という情報を伝えることで、翻訳者のスケジュールも確認しやすくなります。

※ここで注意しておきたいのは、絶対に発注するとしながらも、突然キャンセルになったりする場合です。これを続けると翻訳会社も「どうせまたキャンセルになる」という風に感じますし、翻訳者のスケジュールを打診したり調整するようなことはなくなります。「オオカミ少年」にならないようにしましょう。

あくまで打診という形になりますが、それでも突然依頼が発生するよりは、あらかじめ先が見える状態であることは、翻訳会社にとっても翻訳者にとっても品質をコントロールしやすくなります。

ポイント 2.  用語集やスタイルガイドなどの資料の充実

参考資料も翻訳の品質を向上させ、良い翻訳を作るには当たり前と言えば当たり前です。しかし当たり前であるにも関わらず、意外と所有していなかったり、所有していても管理していなかったり、また部署ごとにバラバラだったりと、さまざまです。

翻訳に役に立つ参考資料とは

用語集構築・運用

決して簡単なことはありませんが、横断的に組織に共通の専門用語集やスタイルガイドを持つというのは、企業レベルをさらに上げることにもつながる「ブランディング効果」がありますのでぜひ取り組んでみてください。

ポイント 3.  長期的視点で取り組む

翻訳という作業を一度でも自分でしたことがある方ならご理解いただけるかと思いますが、翻訳というのは、実際の翻訳を行う作業者(翻訳者)と、チェックする側との共同作業でもあります。

つまり、(最低限の翻訳品質というものはあるという前提で)翻訳の経験をすることで徐々に貴社に合った翻訳品質に近づいていくということでもあります。

クセや好みを把握し、そこに向かって表現をブラッシュアップしていくというのは、大変難しい作業ですが、「良い翻訳」を作る上ではチャレンジしなければならないことでもあります。

そのためにも、長い目で取り組む(長期的な視点)というのはとても大切なことだと言えます。

翻訳カスタマイズサービス

ポイント 4. フィードバックを行う

ポイント 3 とも関連しますが、「自分の訳文が最終的にどのように使われたのか」を知ることは翻訳者にとっても翻訳会社にとっても大変重要なステップです。

ネガティブなフィードバックもポジティブなフィードバックも訳文の変遷を見ることで、次の案件に対してより精度の高い対策が可能になります。

「訳文レビュー後にそのまま翻訳会社へ差し戻す」というところまでを一連のタスクとすると、翻訳の品質も加速度的に向上します。

翻訳、ローカライズのフィードバックの重要性

ポイント 5. リソースの選定

これは翻訳会社側での裁量も大きくなりますが、大前提として「得意な翻訳者をアサインする」ということが大切です。

弊社の場合、対象ドキュメントと異なる分野の翻訳者が対応することはありませんが、できるだけ得意な人をアサインするための事前情報や背景などがあると助かるのも事実です。

「翻訳者なら誰でもいい」ということは絶対にありえません。なぜなら「何でもできる翻訳者や翻訳会社」は存在しないからです。

「翻訳なんて誰がやっても一緒」だが、誰もが「言葉に魂を込めている」ものを求めている

 

得手不得手がある以上、それをしっかりと把握した上でアサインすることが大切(肝)であり、それこそが翻訳コーディネーション業務の重要な仕事のひとつだと言えます。だからこそ、その部分で安心できる翻訳会社かどうかを見極める目を持つ必要があります。

翻訳ドキュメントマップ

まとめ

いかがでしたでしょうか。冒頭でご説明したように、ひも解いてみれば「当たり前」のことばかりです。しかしながら、当たり前だからこそなかなか徹底できないのです。長期的に強固な品質を作り上げるには、やはり準備が欠かせません。そしてまたそれを継続するスキームも重要です。

「いったいどうすれば継続的に良い翻訳を手に入れることができるのか」という永遠のテーマに対し、何か大規模な取り組みがなければならない、というわけではありません。むしろ、日々のメンテナンスやコミュニケーションがベースとなっており、地道な活動からスタートすることをお薦めいたします。

翻訳・通訳・ローカライズ全般のお問い合わせ


初心者が動画マーケティングで抑えておきたいたった2つのこと

多くの企業が使用している動画ですが、貴社のマーケティング活動プロセスにしっかりと組み込み、結果を出すためには、何から考えて着手すればよいのでしょうか。今回は動画マーケティングの失敗を避け、成功のためのステップについてお伝えします。

動画マーケティングの「ゴールは何か」を決める

まず最初に決めなくてはならないのは「貴社のゴールは何か」です。ゴールの無いマーケティングは効果測定できないばかりか、ほとんど意味がありません。独りよがりのマーケティング活動では決してうまく行きません。

ゴールは定性的なものではなく、しっかりと数値で設定しましょう。例えば、

2か月後には動画の再生回数を10,000 回にする

Youtube チャンネルへの登録数を 50 % アップする

といった具合です。明確な目標があれば、一連のマーケティング活動の成否を計測することができますし、費用対効果、成功要因、失敗要因などの分析が可能になります。

動画を見てほしい「ターゲットは誰か」を決める

次に決定しなければならないのが、ターゲットの設定です。いわゆる「ペルソナ」の決定です。

ペルソナを決める上では例えば以下のような質問項目を設定し、それに回答する形でターゲットを明確にしていきます。(回答はあくまでサンプル)

質問項目回答(サンプル)
性別は?男性
年齢は?35歳
居住地は?どこに住んでいるのか?神奈川県
家族構成は?妻と娘、息子の4人暮らし。妻はパートで週5日程働いている。娘は 小学1年生、息子は幼稚園に通っている。
日常の交通手段は?○○線を利用、朝は通勤ラッシュを避けるため1時間ほど早めに通勤している。
普段の服装はどんなものが好きか?普段はスーツだが休日はラフな格好を好む。
趣味は?休日は学生時代からのフットサルチームに参加。練習後には友人たちと食事が王道パターン。
最近の悩みは何か?仕事のやりがいはあるが、給与や条件面を考えるとさらにステップアップして転職するかどうか。年齢的にも転職するなら次が最後にしたい。

どんな価値観を持っているか?(何を大切にしているのか)

仕事もプライベートも大切にしたいと思っているが、結婚してからというもの、子供の将来に何が残せるのか、何を伝えていけるのかという想いが強くなってきた。

動画制作時に抑えておきたい 2 つのポイント

ゴールとターゲットが決まったら、いよいよコンテンツに取り組みます。動画のコンテンツは、設定したペルソナに向けてのものとして制作しなければなりません。コンテンツを制作するときに抑えておきたいポイントを解説します。

ポイント1:動画コンテンツは「ストーリー」が大切

どんな動画でもストーリーは大切です。動画は最初の20秒で継続して視聴するかしないかが決まると言われています。

簡単に言えば、「つかみが大切」ということです。「つかみ」が面白くなければ、よほどのことがない限り、ぞのまま見てもらうことはできません。

ちなみに、2016年にもっともシェアされた動画広告のランキングというものがあります。

unruly 社によってランキングされていますのでご覧ください(英語ページ

John Lewis’ “#BusterTheBoxer” Tops Most Shared Ads Of 2016

これらは、特徴的な動画ばかりでしっかりとストーリーがあり、ついつい見てしまうものばかりですね。

ご覧になったことがある動画もあるのではないでしょうか。ただ、ここで考えたいのは、「どうしてこの動画を自分は見たいと思ったのか?」という質問です。

そこに動画マーケティングのヒントがあります。

ポイント2:SNS 等で紹介、拡散されるコンテンツを作る

もうひとつ例を挙げましょう。以下は Youtube 公式が公開しているその年に流行ったものをまとめています。

YouTube Rewind 2018: Everyone Controls Rewind| #YouYubeRewind

YouTube Rewind 2018: Everyone Controls Rewind | #YouTubeRewind

YouTube Rewind: The Shape of 2017| #YouTubeRewind

YouTube Rewind: The Shape of 2017 | #YouTubeRewind

YouTube Rewind: The Ultimate 2016 Challenge | #YouTubeRewind

YouTube Rewind: The Ultimate 2016 Challenge | #YouTubeRewind

これらのまとめを見ると、毎年ドンドン新しいキャラクターやブームが登場しているのが分かります。TV メディアよりも Youtube の方がメディアパワーが強くなっているのが分かります。

これは BtoC の話だけではありません。youtuber のビジネスへの台頭、つまり彼ら自身がコンテンツとしての独自性を持っているわけです。

そしてどんどんシェアされていくことで、その拡散スピードは指数関数的に膨れ上がっていきます。

企業活動においても動画マーケティングは大変重要ですから、例えば、企業のキャラクターを設定してアニメ動画にしたり、企業ブランドに即した形のコンテンツを企画することが重要です。

このように動画はストーリーが大切だというのがご理解いただけたでしょうか。

動画の用途はさまざま

これまで述べてきたように、動画の制作時に抑えておきたいポイントを理解し、制作することができるようになれば、プロモーションのみならず様々な用途にも使えるようになります。なぜなら基本的な部分は従来のマーケティングツールと同じだからです。

プロモーション以外で活用できる分野としては「ハウツー系」や「お悩み解決、Q&A系」、「ニュースメディア系」、「お客様の声、インタビュー、事例」などがあります。

「ハウツー系」といえば e-Learning を代表とする教育・研修などの社内向けの教育研修コンテンツや取扱声明書のようなものを制作することができます。

「お悩み解決、Q&A系」では、「購入した商品の使い方」や「便利な方法」など、手順を動画で説明することができます。文字だけではイメージしにくいものは動画の方が便利です。

「ニュースメディア系」では、まだユーザーに知られていない最新情報など、お役立ち情報をお届けすることができます。

「お客様の声、インタビュー、事例」では、文字通りお客様にインタビューをしたり、動画事例として制作することで「使用感」「実際の反応」を視聴者に伝えることができます。

どの企業でも必ず商品やサービスを販売しており、その先にはユーザー(お客様)がいるわけですから、ニーズは顕在化されており、彼らをターゲットとしてコンテンツを設計することが比較的簡単にできます。(前後しますが、だからこそターゲット=ペルソナの設定が大切です)

動画は「体験」に近づける

動画の用途がさまざまある中で、テキストよりも動画が持っているのは「自分自身の体験に近づく」という点です。

例えばテニスを教える動画があったとします。ラケットの持ち方やフォームなどを動画として見ることができます。

実際に自分でラケットを握って振ってみる際には、テキスト(本)を読むよりも動画を何度も再生して真似をしてみる方が習得は早くなります。(もちろん、見るだけ、読むだけでは習得はできません。最後は行動しなければなりません)

動画を見るだけで実際の体験はできませんが、疑似体験はできます。言葉では伝えにくいニュアンスなどを伝えるときには動画は大変有効です。

また、もうひとつの例としては、営業マンのロールプレイングを動画で撮影し、Youtube にアップして後から研修で使用することができれば、客観的な視点で分析もできますので大変便利です。

大抵の営業マンは恥ずかしがってやりませんが、逆に言えば、それを乗り越えて客観的に自分を分析できれば、より信頼される営業マンになれるということです。

もはや「当たり前」の動画マーケティングをより効果的に使うために

これまで述べてきたように、動画マーケティングは何も難しいことはありません。撮影技術は年々初心者でもできるようにシンプルになってきましたし、リーズナブルな価格で動画の業者も数多くいますから、信頼できる業者とともに作ることが可能になりました。

先端技術やテクニックももちろん大切ですが、もっと大切にしたいのは「ペルソナに対して、貴社の商品やサービスは何ができるのか」を真剣に考えることであり、「その部分に対してどういう提案をするのか」であり、「それを動画でどのように見せるのか」ということです。

それがはっきりしなければ、目標もペルソナもストーリーも意味を成しません。

この点を最重要ポイントとして動画制作を行っていきましょう。

字幕翻訳プラン[FUNSUB]

弊社では動画制作のみにならず、既存の動画をローカライズすることでスピーディに動画を使用していただくことができる字幕翻訳プランもご用意しております。

https://www.trivector.co.jp/movie/

中企業経営者向けマーケティングガイド

また、今回の内容は動画に関してお伝えしましたが、ペルソナやストーリーといったマーケティング的な視点は、どの分野でも必要です。世の中には「知られていない良い商品」が沢山あります。

中小企業の場合はリソースが限られているため、それらを知ってもらう機会が極端に少ないと言えるでしょう。だからこそマーケティングが非常に重要であることは間違いありません。

そんな方々のために、弊社では「今すぐできる!知識・経験ゼロの中小企業経営者向け マーケティングガイド」を販売しております。マーケティングとは何かから始まり、実際に手を動かすワーク形式となっておりますので、貴社の強みや戦略を含めて企画検討することができます。

なかなか予算がかけられない、しかし何とかしなくてはならないとお考えの方には最適な1冊となります。

今すぐできる!知識・経験ゼロの中小企業経営者向けマーケティングガイド

 


用語集と木こりのジレンマ

glossary

翻訳会社から見ると、翻訳業務に欠かせないのが用語集ですが、お客様の立場から見ると意外と軽視されているケースが見受けられます。

用語集があるのと無いのとでは品質に差が出てしまうにも関わらず、その重要性が浸透しない理由はいくつか考えられます。今回は、この専門用語集について考察したいと思います。

そもそも「専門用語」とは何かが曖昧

まず初めに「専門用語」というのはどこからを指すのでしょうか。その境界はなかなか見極めが難しい場合があります。

例えば、医療や医薬の分野には多くの専門用語が登場します。以下の例で考えてみましょう。

日本語英語
抗体Antibody
アレルギーAllergy
手術Operation
妊娠Pregnant

ひとつ目の「抗体」は、医療用語(専門用語)というのは何となく納得できますが、では2つ目の「アレルギー」はどうでしょうか?日常的に使用している用語ですが、実はこれも医療用語です。「手術」も病院ではよく聞きますし、一般人でも使いますが、医療用語です。「妊娠」という言葉も日常会話でも登場する言葉ではありますが、医療用語です。

これらはすべて医療用語なので、専門用語としても間違いではありません。

一般の人が「専門用語」として感じるのか、もしくは「一般用語」として感じるのかは、その人の持つ背景知識などにも左右されます。逆に言えば、ある特定の分野の専門家が「これは一般用語だ」と思い込んでいたら、それは用語集には入らないことになります。

これは、自分の常識が他人の常識とは限らないという話に似ています。

また、仮に市販の用語辞書に掲載されていれば専門用語であり、そうでなければ専門用語ではないのでしょうか。しかし、こういう基準で考えるのもおかしな話です。

つまり、専門用語かどうかの線引きは、ある種、非常に曖昧だと言えます。

これが用語集の価値を認めにくい一つ目の要因です。

実際の用語の使い方が曖昧

多くのお客様と接していて感じるのは「お客様ごとに用語の使い方は違う」ということです。これは10年以上前は考えられないことでした。

例を挙げてみましょう。

例えば IT 専門用語で “Virtual” という言葉があります。この翻訳について、

  • A 社:「バーチャル」
  • B 社:「仮想」

と訳語が異なるケースがあります。意味は同じでも、表記が異なっているわけです。10年以上前の IT 業界なら業界内で統一できていましたが、テクノロジーの発達や各社の差別化要因としても「ウチは”仮想”ではなく、”バーチャル”を使っている」という企業が増えています。

また、別のケースとして、同じ単語であっても状況によって訳し分けなければならないこともあります。この場合は用語集にどこまで登録するのかといったことも検討しなくてはなりません。

これらの曖昧さも用語集の価値が伝わりにくい要因となっています。

それでも用語集がある方がいい

これまで述べてきたように、曖昧さが引き起こす原因はあるとはいえ、それでも用語集は構築したほうがいいというのが弊社の見解です。

仮に曖昧さを排除しきれなかったとしても、それを補って余りある効果を得ることができるからです。翻訳作業時に複数の翻訳者で対応しなければならない場合には、用語集があれば、統一が容易になります。

また様々なドキュメントがあっても、用語が統一されていればブランディングの観点からもイメージアップ、ユーザビリティアップにつながります。

もし、用語集がなければ何が起きるのでしょうか?

  • 企業のドキュメントの統一が図れない(=ブランディングの統一ができない)
  • 全ドキュメントでの統一はおろか、自分が担当するドキュメントすら統一できない

大した影響はないとお考えでしょうか?それともこういった部分のバラつきが読み手に与える印象は決して小さいものではないと思うでしょうか。

この判断が貴社のドキュメントの品質を変えるとすればいかがでしょうか。

翻訳業界の用語集

ちなみに、弊社でも翻訳業界用語についてまとめています。

翻訳、ローカライズ用語集

 

翻訳やローカライズ業務で頻出する用語とその意味をまとめてありますが、「どこから掲載するか」という上記の問題は孕んだままです。しかし、それでも上述のように単語の意味、定義を共有しておくことの方が大きなメリットがあると考えています。

本当は自社で作る方がいい

このように、用語集があるとあらゆる貴社のドキュメントに使用できるようになります。それはつまり、貴社の資産になるということです。

私たちがお伝えしたいのはまさにこの点であり、そういう観点から考えると、本来は貴社で構築していくのがもっとも確実であると言えます。

用語集と木こりのジレンマ

このように、用語集の構築に関してお伝えをしても、「そうはいってもなかなか時間を取れない」というお話もお伺いします。そこで弊社では、「用語集構築プラン」をご用意しております。

 

用語集構築・運用

 

このプランをご利用いただき、その後のドキュメント制作をスムースにするかどうかは、「木こりのジレンマ」と似ています。

木こりのジレンマとは

ある日、旅人が森の中を歩いていると、一人の木こりに出会った。その木こりは、一生懸命、木を切っていた。旅人はそんな彼を見ていた。
旅人は、その木を切る姿を見ていて、木こりが一所懸命切っている割には木がなかなか切れないのを不思議に思った。そこで彼ののこぎりを見ると、随分と刃こぼれが目立っていた。

そこで、旅人は「木こりさん、そののこぎりは随分刃こぼれしているようだ。のこぎりの刃を研ぎ直してから、あらためて木を切ったらどうだろうか」と言った。

ところが木こりは旅人に向かってこう言った。

「あなたの忠告は非常にありがたいが、私は今、木を切るのにとても忙しく、それどころではないのです」

そして木こりはその刃こぼれしたのこぎりを使って木を切り続けた。

もし、この「のこぎりの刃」が貴社にとっての「専門用語集」だとしたら、バラバラのまま翻訳作業を続けたところで品質アップにはなりません。

一度用語集を作ってみる。そしてそれを使って展開することで、翻訳作業もレビュー作業ももっとスムースになるとしたら、専門用語は価値があると言えるのではないでしょうか。

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UI を翻訳・ローカライズする時に注意したい 3 つのポイント

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UI とは何か

UI は「User Interface:ユーザーインタフェース」の略称です。具体的には、ソフトウェアなどでは頻繁に出現する画面のことを指します。(メニューやエラーメッセージなど)

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この UI の翻訳やローカライズを行うにあたっては、通常のドキュメントの翻訳とは異なった注意が必要になります。今回は、その主な注意点をご紹介します。

UI 翻訳、ローカライズの準備

まず、作業にあたって準備が必要です。

  1. 翻訳対象原稿(ファイル形式)
  2. 専門用語集
  3. 表記スタイルガイド
  4. (必要であれば)スクリーンショットや実機インストール

 

それぞれについて見ていきましょう。

翻訳対象原稿について

これは読んで字のごとく、翻訳する対象のファイルのことです。しかしながら、UI の場合にはドキュメントとは異なり、様々なファイル形式があります。例えば、以下のような拡張子のファイルがあり、これらが対象となります。

  • .txt :テキスト形式のファイル
  • .resource:リソースファイル
  • .rc:リソースファイル
  • .xls/.xlsx:エクセルに抽出されたファイル

これらは、そのまま開いて作業することができないものもあるため、SDL TRADOS(トラドス) を代表とする翻訳支援ツールなどを使用して翻訳することもあります。

 

SDL TRADOS(トラドス)の解析アルゴリズム

 

またリソースファイルでは翻訳対象文章以外のプログラムコードが記述されているため、それらを誤って削除したりしないように注意する必要があります。

UI の翻訳やローカライズには、TRADOS だけでなく Passolo や Catalyst といった翻訳支援ツールを使用することで一貫性を保つことができます。なおこれらのツールは、上記のようなマニュアル等のドキュメントの翻訳でも効果を発揮します。

ローカライズとは

 

どんなファイル形式で原稿をお借りするかによって、使用ツールや納品形式も変わってしまいますので、翻訳会社への連絡時には、原稿のファイル形式を合わせて伝えた方が良いでしょう。

専門用語集について

用語集は、UI の翻訳やローカライズに関わらず大切です。弊社では、用語集をお持ちでないお客様向けに「用語集構築プラン」をご提供しています。

用語集構築・運用

 

専門性が高くなればなるほど用語集は重要になります。専門用語は、その用語が持っている意味が重要だからです。用語集がなければ、統一が難しくなってしまうシーンもあるため、できるだけ用意しましょう。

表記スタイルについて

用語集と同様に、表記スタイルも大変重要です。例えば、このような場合は何が正解なのかはお客様にしかわかりません。

表記の例ルール
ユーザ インタフェースユーザ、インタ、フェース
ユーザ インターフェースユーザ、インター、フェース
ユーザ インターフェイスユーザ、インター、フェイス
ユーザ インタフェイスユーザ、インタ、フェイス
ユーザー インタフェースユーザー、インタ、フェース
ユーザー インターフェースユーザー、インター、フェース
ユーザー インターフェイスユーザー、インター、フェイス
ユーザー インタフェイスユーザー、インタ、フェイス

どれも ” User Interface” という言葉の訳語であり、意味も変わりません。違うのは表記スタイルだけです。

これは、どれも意味は同じなのに、表記方法が異なっているというほんの一例です。UI の場合、特にこの表記方法が異なると、画面として表示させたときに、かなりバラバラな印象が強く、使いにくいソフトウェアと思われてしまうかもしれません。

スクリーンショットや実機インストール

UI はそのソフトウェアのスクリーンショットがあればより翻訳しやすくなります。これは完成形をイメージできるからです。また、場合によっては翻訳時に作業環境を構築し、実際のソフトウェアをインストール、操作しながら翻訳するケースもあります。

これらはどちらも、実際の画面に表示される状況を想像して翻訳することができるために、品質が高くなるということを意味します。

まず作業前に確認すべき点を洗い出し、準備することで実際の翻訳作業をスムースにすることができるため、より翻訳作業そのものに集中することができ、結果としてお客様が望む品質に近くなるのです。

これらを踏まえ、UI の翻訳時に、特に重要な 3 つの注意点をご説明しましょう。

注意点1:限定された文字数

ドキュメントの翻訳と異なり、UI の翻訳やローカライズではその使用される場所が画面やメニュー画面ということもあり、ダラダラと長い文章で翻訳することができません。

スクリーンショットの幅に収まるように訳文を調整しなければ、どんなに上手な翻訳でも使い物になりません。このため、翻訳後には訳文を実装し表示させ、訳文の微調整などを行わなければならないケースもあります。

例えば、英語から日本語からの翻訳の場合には、英語はシングルバイト、日本語はダブルバイトという前提を踏まえて最大の文字数をあらかじめ決めておいて翻訳する必要があります。

文字数制限のある翻訳では、創意工夫が必要になりますし、上述の用語集や表記スタイルが重要になってくるのです。

注意点2:文脈(コンテキスト)がない

通常、ドキュメントは読み物としての要素を持っているため、「話の流れ」、つまり文脈(コンテキスト)が存在しますが、UI には文脈がありません。そのため、この文章がいったいどういうシーンで使用されているのかが想像できないため、どのように訳せばいいのかがとりわけ困難になります。

文脈は非常に重要です。読み手だけでなく翻訳者にとっても、流れるような、リズムのある文章は、読み手の頭にスッと入っていきますが、逆に、読みにくい文章の場合にはそれがかなり難しくなります。

文脈(コンテキスト)がない分、周辺資料がより一層重要な位置を占めるのがご理解いただけるかと思います。

注意点3:ファイル形式

UI  ファイルには、様々なファイル形式があるのは上述のとおりですが、UI ストリングス内にある文字列では翻訳する必要のないものが多くあります。もっとも一般的なものとして、例のような記述がある場合、以下のように処理します。

example

この際、翻訳対象個所以外を誤って触ったり、変更してしまったりすることがあります。

これについてはツールを使用して回避するか、もしくはエクセル等に翻訳対象個所を抽出していただき、そのエクセルファイルを翻訳するという方法があります。これであれば、余計な文字列を気にすることなく翻訳作業に専念することができるためです。

まとめ

UI はソフトウェア内においてユーザとの接点となる大変重要なコンタクトポイントです。インターフェースとしての機能を果たすためには、適切な訳語である必要があります。

弊社のこれまでの経験でも、ドキュメントは翻訳してもソフトウェアはローカライズしなかったり、UI が英語のままの製品がありました。これは、下手な翻訳をするくらいなら英語のままのほうがユーザに親切だという判断です。UI をはじめとした翻訳・ローカライズ作業は確かにコストのかかるものですが、それは顧客満足度を引きあげるための必要な投資ですから、翻訳の品質をきちんと担保すべきではないでしょうか。

だからこそ今回お伝えした3つのポイントに注意していただき、納得のいく品質で翻訳し、ご利用いただければと思います。

翻訳・通訳・ローカライズ全般のお問い合わせ

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