多くの企業が使用している動画ですが、貴社のマーケティング活動プロセスにしっかりと組み込み、結果を出すためには、何から考えて着手すればよいのでしょうか。今回は動画マーケティングの失敗を避け、成功のためのステップについてお伝えします。
動画マーケティングの「ゴールは何か」を決める
まず最初に決めなくてはならないのは「貴社のゴールは何か」です。ゴールの無いマーケティングは効果測定できないばかりか、ほとんど意味がありません。独りよがりのマーケティング活動では決してうまく行きません。
ゴールは定性的なものではなく、しっかりと数値で設定しましょう。例えば、
2か月後には動画の再生回数を10,000 回にする
Youtube チャンネルへの登録数を 50 % アップする
といった具合です。明確な目標があれば、一連のマーケティング活動の成否を計測することができますし、費用対効果、成功要因、失敗要因などの分析が可能になります。
動画を見てほしい「ターゲットは誰か」を決める
次に決定しなければならないのが、ターゲットの設定です。いわゆる「ペルソナ」の決定です。
ペルソナを決める上では例えば以下のような質問項目を設定し、それに回答する形でターゲットを明確にしていきます。(回答はあくまでサンプル)
質問項目 | 回答(サンプル) |
性別は? | 男性 |
年齢は? | 35歳 |
居住地は?どこに住んでいるのか? | 神奈川県 |
家族構成は? | 妻と娘、息子の4人暮らし。妻はパートで週5日程働いている。娘は 小学1年生、息子は幼稚園に通っている。 |
日常の交通手段は? | ○○線を利用、朝は通勤ラッシュを避けるため1時間ほど早めに通勤している。 |
普段の服装はどんなものが好きか? | 普段はスーツだが休日はラフな格好を好む。 |
趣味は? | 休日は学生時代からのフットサルチームに参加。練習後には友人たちと食事が王道パターン。 |
最近の悩みは何か? | 仕事のやりがいはあるが、給与や条件面を考えるとさらにステップアップして転職するかどうか。年齢的にも転職するなら次が最後にしたい。
どんな価値観を持っているか?(何を大切にしているのか)
仕事もプライベートも大切にしたいと思っているが、結婚してからというもの、子供の将来に何が残せるのか、何を伝えていけるのかという想いが強くなってきた。 |
動画制作時に抑えておきたい 2 つのポイント
ゴールとターゲットが決まったら、いよいよコンテンツに取り組みます。動画のコンテンツは、設定したペルソナに向けてのものとして制作しなければなりません。コンテンツを制作するときに抑えておきたいポイントを解説します。
ポイント1:動画コンテンツは「ストーリー」が大切
どんな動画でもストーリーは大切です。動画は最初の20秒で継続して視聴するかしないかが決まると言われています。
簡単に言えば、「つかみが大切」ということです。「つかみ」が面白くなければ、よほどのことがない限り、ぞのまま見てもらうことはできません。
ちなみに、2016年にもっともシェアされた動画広告のランキングというものがあります。
unruly 社によってランキングされていますのでご覧ください(英語ページ)
John Lewis’ “#BusterTheBoxer” Tops Most Shared Ads Of 2016
これらは、特徴的な動画ばかりでしっかりとストーリーがあり、ついつい見てしまうものばかりですね。
ご覧になったことがある動画もあるのではないでしょうか。ただ、ここで考えたいのは、「どうしてこの動画を自分は見たいと思ったのか?」という質問です。
そこに動画マーケティングのヒントがあります。
ポイント2:SNS 等で紹介、拡散されるコンテンツを作る
もうひとつ例を挙げましょう。以下は Youtube 公式が公開しているその年に流行ったものをまとめています。
YouTube Rewind 2018: Everyone Controls Rewind| #YouYubeRewind
YouTube Rewind: The Shape of 2017| #YouTubeRewind
YouTube Rewind: The Ultimate 2016 Challenge | #YouTubeRewind
これらのまとめを見ると、毎年ドンドン新しいキャラクターやブームが登場しているのが分かります。TV メディアよりも Youtube の方がメディアパワーが強くなっているのが分かります。
これは BtoC の話だけではありません。youtuber のビジネスへの台頭、つまり彼ら自身がコンテンツとしての独自性を持っているわけです。
そしてどんどんシェアされていくことで、その拡散スピードは指数関数的に膨れ上がっていきます。
企業活動においても動画マーケティングは大変重要ですから、例えば、企業のキャラクターを設定してアニメ動画にしたり、企業ブランドに即した形のコンテンツを企画することが重要です。
このように動画はストーリーが大切だというのがご理解いただけたでしょうか。
動画の用途はさまざま
これまで述べてきたように、動画の制作時に抑えておきたいポイントを理解し、制作することができるようになれば、プロモーションのみならず様々な用途にも使えるようになります。なぜなら基本的な部分は従来のマーケティングツールと同じだからです。
プロモーション以外で活用できる分野としては「ハウツー系」や「お悩み解決、Q&A系」、「ニュースメディア系」、「お客様の声、インタビュー、事例」などがあります。
「ハウツー系」といえば e-Learning を代表とする教育・研修などの社内向けの教育研修コンテンツや取扱声明書のようなものを制作することができます。
「お悩み解決、Q&A系」では、「購入した商品の使い方」や「便利な方法」など、手順を動画で説明することができます。文字だけではイメージしにくいものは動画の方が便利です。
「ニュースメディア系」では、まだユーザーに知られていない最新情報など、お役立ち情報をお届けすることができます。
「お客様の声、インタビュー、事例」では、文字通りお客様にインタビューをしたり、動画事例として制作することで「使用感」「実際の反応」を視聴者に伝えることができます。
どの企業でも必ず商品やサービスを販売しており、その先にはユーザー(お客様)がいるわけですから、ニーズは顕在化されており、彼らをターゲットとしてコンテンツを設計することが比較的簡単にできます。(前後しますが、だからこそターゲット=ペルソナの設定が大切です)
動画は「体験」に近づける
動画の用途がさまざまある中で、テキストよりも動画が持っているのは「自分自身の体験に近づく」という点です。
例えばテニスを教える動画があったとします。ラケットの持ち方やフォームなどを動画として見ることができます。
実際に自分でラケットを握って振ってみる際には、テキスト(本)を読むよりも動画を何度も再生して真似をしてみる方が習得は早くなります。(もちろん、見るだけ、読むだけでは習得はできません。最後は行動しなければなりません)
動画を見るだけで実際の体験はできませんが、疑似体験はできます。言葉では伝えにくいニュアンスなどを伝えるときには動画は大変有効です。
また、もうひとつの例としては、営業マンのロールプレイングを動画で撮影し、Youtube にアップして後から研修で使用することができれば、客観的な視点で分析もできますので大変便利です。
大抵の営業マンは恥ずかしがってやりませんが、逆に言えば、それを乗り越えて客観的に自分を分析できれば、より信頼される営業マンになれるということです。
もはや「当たり前」の動画マーケティングをより効果的に使うために
これまで述べてきたように、動画マーケティングは何も難しいことはありません。撮影技術は年々初心者でもできるようにシンプルになってきましたし、リーズナブルな価格で動画の業者も数多くいますから、信頼できる業者とともに作ることが可能になりました。
先端技術やテクニックももちろん大切ですが、もっと大切にしたいのは「ペルソナに対して、貴社の商品やサービスは何ができるのか」を真剣に考えることであり、「その部分に対してどういう提案をするのか」であり、「それを動画でどのように見せるのか」ということです。
それがはっきりしなければ、目標もペルソナもストーリーも意味を成しません。
この点を最重要ポイントとして動画制作を行っていきましょう。
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中企業経営者向けマーケティングガイド
また、今回の内容は動画に関してお伝えしましたが、ペルソナやストーリーといったマーケティング的な視点は、どの分野でも必要です。世の中には「知られていない良い商品」が沢山あります。
中小企業の場合はリソースが限られているため、それらを知ってもらう機会が極端に少ないと言えるでしょう。だからこそマーケティングが非常に重要であることは間違いありません。
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