月別アーカイブ: 2017年8月

翻訳品質の評価基準とは

翻訳品質の評価とその根底にあるもの

「翻訳の品質に満点があるか」どうかというのは非常に難しいテーマです。しかし一般的に、100 点満点の翻訳というものは存在しないと言えます。翻訳において満点が難しいというのは、ドキュメントや Webサイト(ホームページ)を読む人(対象読者)によって、訳文から受ける印象が変わってしまうことがあるためです。

例えば、A さんが書いた文章を、B さんは読みやすいと思っても、C さんは必ずしも読みやすいとは思わないことがあります。なぜこういうことが起きるのでしょうか。主な理由として考えられるのは、

・文章の読解力

・文章の構成力

・個人の好み(文体、文章のリズム、使用する語彙、文章の構成など)

・個人個人のバックグラウンド、経験、知識の違い

などが挙げられます。

これらは対象読者の一人一人がそれぞれ異なっていますが、ここで言えるのは「差」があるのではなく、「違い」があるということです。そのため文章(訳文)を読んで受ける印象も変わりますし、評価も変わります。

仮に B さんにとって 100 点満点の翻訳、訳文であったとしても、C さんにとって 100 点でないというケースが起き得るのはこういう理由からです。

良い翻訳とは何か?

しかしながら、「良い翻訳」というのものも少なからず存在し、そのような翻訳というのは、高い確率で多くの読者から「読みやすい、分かりやすい」といった評価を受けることができます。

例えるなら、 100 人中、8 割、9 割の読者が「読みやすかった、分かりやすかった」と感じることができれば、それは良い翻訳として受け入れられることになります。世の中に無数に存在する文章は、翻訳に限らず、より多くの人に「分かりやすい、読みやすい、美しい」と思われれば、少なくとも及第点となります。

これには文章のリズムや語彙力、読解力、専門性など、多くの要素が含まれていると考えられます。相手に響く翻訳や訳文というのは、結局のところ総合力(翻訳力)が必要であるということです。

「翻訳力」とは何か

 

※特定の書式で決まりきった文言を使用しなければならない文章などの場合は、上記の限りではありません。

翻訳の品質をお客様ごとにアジャストする力

言葉は生き物です。時代とともに変化し、進化していきます。

翻訳会社や翻訳者には常にたゆまぬ努力が求められるのは当然ですが、これまでにご説明したように、翻訳を 100 点とする定義がない(=個人差がある)ため、その好みや傾向に的確にアジャストするさまざまな能力も合わせて必要となってきます。

そこで、「貴社にとっての翻訳の品質とは何か」を事前に明確に定義しておくことが不可欠であり、一定の品質を保つ上でのポリシーとなります。

つまり、翻訳会社にとって大切なことは、

・「お客様ごとにマッチした品質の訳文をご提供する」

・「対象読者が真に理解できる訳文をご提供する」

ということになります。

翻訳、ローカライズの品質とは

 

そのための事前のヒアリング、お打合せ、過去の訳文の傾向の分析といった下準備が大切であることはあえてご説明するまでもありません。

これらを踏まえた上で、貴社にとっての翻訳の品質、そしてそのための制作ポリシーを持つことがより重要になってきています。

トライベクトルの翻訳品質評価サービス

弊社では、翻訳に満点がないからこそ、常に継続して翻訳の品質を考え続け、貴社にとって最適なご提案をしております。また翻訳品質の評価についても行っております。

翻訳の品質評価

 

弊社の翻訳・ローカライズ サービスについては、 お気軽にお問い合わせよりご連絡下さい。


FrameMaker(フレームメーカー)の機能と特長

FrameMaker(フレームメーカー)の機能と特長

Adobe FrameMaker(フレームメーカー)の機能と特長

マニュアルの翻訳では必ずと言っていいほど使用されているアプリケーションの Adobe FrameMaker(フレームメーカー)ですが、その代表的な機能と特長を知っておくことで、翻訳のコストダウンおよび品質の均一化を図ることが可能になります。

FrameMaker(フレームメーカー) の機能:Conditional Text(コンディショナルテキスト)

FrameMaker(フレームメーカー)の機能の 1 つである、Conditional Text(コンディショナルテキスト)とは、一言で言えば、「マニュアルの状況に応じて表示させる文章を選ぶことができる」ということです。

例えば、あるソフトウェアのマニュアルがあるとします。このマニュアルには、エンドユーザ向けに書かれている内容と、自社の社内向けに書かれている内容の両方が記載されている場合を考えてみましょう。

・エンドユーザ向け:
「社内向けに書かれている内容は読んでほしくないし、読ませたくない」

・社内向け:
「エンドユーザに向けて書かれている内容はあっても良いが、効率が悪いので
社内向けに記載した内容だけを読んでほしい」

この 2 つの相反する希望を FrameMaker(フレームメーカー)のコンディショナルテキスト機能を使用することで解決することができます。

 

このように FrameMaker(フレームメーカー)の持つコンディショナルテキスト機能とは、対象読者を誰にするのかによって、対象読者に合わせた内容を表示させることができる便利な機能なのです。

FrameMaker(フレームメーカー) の機能:Inset Text(インセットテキスト)

コンディショナルテキストと同様、インセットテキスト機能も代表的な FrameMaker(フレームメーカー)の特長ある機能の 1 つです。

インセットテキストも基本的な考え方はコンディショナルテキストと同じです。

 

インセットテキストの場合は、例えばあるパラグラフが文書 A と文書 B で使用されている場合、そのテキスト情報は 1 箇所に別のファイルとして保存しておく方が良いというコンセプトです。

今後、文書 C にも必要になったりする可能性があれば、利便性はますます高まります。 あたかも画像ファイルをリンクさせ、呼び出すように、テキスト情報もリンクから呼び出すといったコンセプトです。

マニュアル制作やマニュアル翻訳に大きく影響する機能だからこそ

このように FrameMaker(フレームメーカー)には多くの便利な機能が備わっています。その中でマニュアルの翻訳やマニュアルの制作に直接影響を及ぼす機能については、FrameMaker(フレームメーカー)の概念だけでも知っておくことで、無駄なコストを抑えることができたり、またスケジュールを短縮することができたりする場合もあります。

逆に言えば、「よく分からないからすべてお任せ」してしまうことで損をする事態も起きてしまうかも知れません。

そうならないためにも、FrameMaker(フレームメーカー)が持っている独自の機能について、概念的な理解をしておくことは貴社にとってメリットのひとつと言えます。

FrameMaker(フレームメーカー)についてのご質問

弊社ではこれまでご説明してきたように、FrameMaker(フレ-ムメーカー)に関してのノウハウを多く蓄積しております。
以下のようなご相談についても受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。

  • FrameMaker(フレームメーカー)の使い方について教えてほしい

FrameMaker(フレームメーカー)を購入したがその使い方が複雑で分からないというお客様のために、レクチャーも行なっております。 事前に貴社のご状況をお伺いし、貴社にあったテキストを準備し、そのテキストを元にFrameMaker(フレームメーカー)の使い方をレクチャーいたします。
これにより、実際の作業に即した形でのFrameMaker(フレームメーカー)の使い方を覚えることが可能になります。
詳細はお気軽にお問い合わせください。

  • FrameMaker(フレームメーカー)初心者のための入門編

FrameMaker(フレームメーカー)を操作するのが全く初めてで何から手をつけていいかわからないというお客様向けに、入門編(基本的な使い方や注意点など)を包括的な内容でレクチャーしております。
詳細はお気軽にお問い合わせください。

  • FrameMaker(フレームメーカー)と他のアプリケーションとの互換

ドキュメント制作においては有名な FrameMaker(フレームメーカー)も その他の分野ではあまり知られていなかったり、またそもそもソフトを 所有していなかったりということがあります。 実際の業務でも本社から送られてきたデータが FrameMaker(フレームメーカー)でも、仕事では InDesign(インデザイン)を使わなくてはならないといったような場合、FrameMaker(フレームメーカー)から InDesign(インデザイン)へと変換しなくてはなりません。このようなアプリケーション間での変換作業なども対応しております。

例:
・FrameMaker(フレームメーカー) から Word へ変換
・FrameMaker(フレームメーカー) から InDesign(インデザイン)へ変換
・Word から FrameMaker(フレームメーカー)へ変換
・InDesign(インデザイン)から FrameMaker(フレームメーカー) へ変換

その他のアプリケーションにつきましてもお気軽にお問い合わせください。

トライベクトルの TRADOS(トラドス) + FrameMaker(フレームメーカー)によるマニュアル翻訳について

TRADOS(トラドス)と FrameMaker(フレームメーカー)の組み合わせによるマニュアル翻訳については、お気軽にお問い合わせください。


機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール

機械翻訳(自動翻訳)(Machine Translation)と翻訳支援ツール(CAT)

いまや機械翻訳(自動翻訳)をはじめとした様々な翻訳・ローカライズサービスが世の中に存在しています。

例えば、機械翻訳(Machine Translation/マシントランスレーション)では、Yahoo!や Google をはじめ様々な検索エンジンが稼働しています。これらは別名自動翻訳と呼ばれることもあります。

近年は、AI 翻訳と呼ばれたりもしますが、ニューラルネットワーク技術を駆使したクラウド翻訳サービスなども登場しています。

大手外資系企業ではすでに機械翻訳(自動翻訳)システムを導入し、はじめに機械翻訳による下訳を行い、その後の編集やレビュー(ポストエディット)を翻訳者が行うというプロセスによってコストの圧縮を図っています。

自動翻訳システムも翻訳支援ツール(CAT)も AI による翻訳もこれらは今後ますます精度が上がっていくことは間違いないでしょう。引いてはこれらの翻訳システムや SDL TRADOS(トラドス)などの翻訳支援ツールを使いこなしていくことは翻訳会社、翻訳者にとって重要な部分を占めることになります。

翻訳は「言葉」という非常に曖昧で流動的で変化のあるものを扱うために、その動向はますます注目に値します。

機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール(CAT)の違い

機械翻訳(自動翻訳)翻訳支援ツール(CAT)
説明翻訳作業時は人間が介在しない。プログラム(システム)によって翻訳を行う人間(翻訳者)が翻訳作業を効率的に行うことを支援するためのツール
Yahoo! 翻訳や Google 翻訳などが代表的(AIによる翻訳システム)SDL TRADOS(トラドス)や MemoQ、Wordfast、Transit、TRATOOL、PASSOLO など

翻訳コストを抑えるため?翻訳品質を安定させるため?

これらの機械翻訳(自動翻訳)や翻訳支援ツールをどういう目的で使用していくのか、ここには各社の考え方があります。例えば、

・翻訳やローカライズをより一層スピーディに行うため
・機械翻訳(自動翻訳)によってとにかくコストを抑えるため
・TRADOS(トラドス)などの翻訳支援ツール(CATツール)によって品質を安定させるため

 

といった目的が挙げられます。これらは翻訳会社、クライアント、翻訳者としての考え方によって利用目的が少しずつ異なってくるでしょう。やはりここでも重要なのは「何のために?」という目的意識です。

機械翻訳(自動翻訳)と翻訳者

これまで見てくると、ひとつの疑問が浮かび上がります。

それは「機械翻訳(自動翻訳)は、翻訳者の仕事を奪うのか」という点です。 これに現時点で答えを出すには難しいでしょう。そうなるであろう部分と代替不可能な部分があるからです。

例えば、誰でもできる簡単な内容であれば、機械翻訳(自動翻訳)がとってかわる部分はありますし、現実にすでにそうなっています。また、お金をかけられない、意味さえ分かればいいといった場合には Yahoo!や Google 翻訳で十分ということも考えられます。AI 技術の発達である程度の品質の翻訳ができるサービスも増えてきました。

また、大企業であれば、社内ですべて処理できるように機械翻訳システムを導入してカスタマイズしていくということも考えられます。これらは初期投資が大きくなり、ランニングコストもかかりますので慎重に検討しないといけません。システムバージョンアップを繰り返しつつ、精度を高めていくということが必要になってきます。

一方、「文章の意味を理解して異なる言語で表現する」作業は人間しかできない部分だと言えます。この「意味を理解する」という部分がまず難しい作業であり、そして「異なる言語で表現する」という部分がさらに難しいわけです。

これを「機械翻訳(自動翻訳)でどこまでできるのか」がポイントになるのではないでしょうか。

つまり、「文章を解析し、数値に置き換えることと同時に、その「言葉の意味」を正確にとらえ、異なる言語に翻訳することができれば、機械翻訳(自動翻訳)を使用する頻度は飛躍的に増えてくるはずです。

翻訳力の必要なドキュメントは、翻訳会社(翻訳者)へ、そうでないものは機械翻訳へ、と使い分けながらそれぞれの技術的な進歩を進めていくことが必要だと言えます。

「翻訳力」とは何か

そして当然、その使い分けをする側にも知識や経験に基づく明確な判断基準が求められるようになるのは言うまでもありません。

トライべクトルの翻訳支援ツール(CAT)による翻訳・ローカライズサービス

トライベクトルでは、翻訳支援ツール(CAT)による翻訳・ローカライズをご提供しておりますのでお問い合わせよりお気軽にご連絡下さい。


翻訳、ローカライズ用語集

専門用語の意味と定義を正しく知ることの大切さ

ここでは、翻訳業界や翻訳会社、またローカライズ業界で一般的に使用されている専門用語についてご説明します。用語の意味を正しく知ることは、ご発注時にも、また翻訳会社との交渉時にも大変重要な役割を果たしてくれます。特に言葉の意味と定義について、それぞれすり合わせておかないと、同じ言葉でも違う解釈をされてしまうためトラブルの元となりかねません。そういったことを避けるためにも、翻訳・ローカライズ業界における用語の意味をきちんと理解しておきましょう。

映像翻訳(えいぞうほんやく)

映画、DVD や CD、ビデオといったエンタテイメント性の高いジャンルの翻訳を行う。通常、産業翻訳や出版翻訳とは一線を画しており、映像翻訳専門の翻訳会社が存在する。字幕翻訳とも呼ばれる。

エージェント(えーじぇんと)

いわゆる代理店だが翻訳会社とほぼ同義で使用されることが多い。一般的な翻訳会社の社内機能は、翻訳者はフリーランスとして登録してもらい、翻訳・ローカライズ作業前後に発生するマネジメント機能が中心となっている。 高品質の翻訳に仕上げ、顧客向けに翻訳・ローカライズサービスを提供する。

営業(えいぎょう)

翻訳の仕事を獲得するための重要なポジション。Webサイト(ホームページ)が営業マンの代わりとなっていることも多いが BtoB ではまだ対面での営業は捨てきれず、クライアントの重要な窓口として多岐に渡る翻訳・ローカライズの知識と交渉力が必要となる。

オペレーター(おぺれーたー)

翻訳作業後のレイアウト作業(体裁を整える作業)を行う。DTP と呼ばれる、FrameMaker(フレームメーカー)や InDesign(インデザイン)といったアプリケーションの知識に長けたスタッフが、翻訳者によって翻訳された訳文を元のデータに流し込み、体裁を整える。その後印刷工程に進むこともある。

機械翻訳(きかいほんやく)

人間が翻訳するのではなく、ソフトウェアが訳文を生成する。TRADOS(トラドス)などの翻訳支援ツールとは異なる。近年では、機械翻訳で訳文を作成し、それを翻訳者が編集する(ポストエディット)ような流れもある。自動翻訳と同義。

機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール

 

キャプション(きゃぷしょん)

マニュアルや取扱説明書などのドキュメント中で、UI、スクリーンショット、図や画像の下にある説明文のこと。

グロッサリー(ぐろっさりー)

用語集、ターミノロジーの別名。ほぼ同義で使用される。翻訳・ローカライズ作業時に使用する大変重要な資料。元の言語と訳語がセットになっている。翻訳品質管理に欠かせないものであり、クライアント個別の用語の使い方が掲載されているため、翻訳会社、翻訳者はそれに準拠しなければならない。

校正(こうせい)

翻訳または DTP レイアウト作業などが指示通りに進められているかを確認すること。主にクライアントからのフィードバックがきちんと修正、反映されているかどうかを確認すること。英文の校正とは異なる。

 

ネイティブチェック

 

コーディネーター(こーでぃねーたー)

翻訳コーディネーター。翻訳会社に必要なポジションであり翻訳会社の要。主に登録翻訳者の窓口として、スケジュール管理からコスト管理、ときには品質管理、プロジェクト管理までを担当する。翻訳業界では様々な場面で中心となる役割。

コールアウト(こーるあうと)

マニュアル本文などでは図やイラストがあるが、そこから引き出されている線を指す。翻訳では、引き出し線に付随するテキストを対象として翻訳することが多い。

産業翻訳(さんぎょうほんやく)

あらゆる産業で発生するドキュメントを翻訳・ローカライズする。映像翻訳/字幕翻訳、出版翻訳、産業翻訳の中ではもっとも市場が大きいと言われる。ただし各分野、各ジャンルによって専門性が高いものが多いため、すべてを網羅することは難しく、各社で得意分野を持っていることが多い。

翻訳業界と翻訳会社

参考資料(さんこうしりょう)

翻訳作業にあたり参考になる資料のこと。主に原文と訳文のセットであることが多い。「どの言葉がどんな訳に変わっているのか」「どんな訳調が好まれるのか」などを確認することで、翻訳対象のドキュメントの方向性を絞ることができる。専門用語集やスタイルガイドもこの参考資料に含まれる。

翻訳に役に立つ参考資料とは

 

仕上がり枚数計算(しあがりまいすうけいさん)

「翻訳された後の言語で、何ページ程度に仕上がるのか」という予想計算方法。紙原稿しかなかった時代には重宝された計算方法ではあるが、現在はほとんど使用されない。原稿はすでにデータ化されていることが多く、文字数やワード数のカウントがすぐに正確に出るため、現在はほとんどが単価計算方式を採用している。

また仕上がり計算の場合には、予測に基づく計算のため、実際の仕上がった枚数に増減があることが多く、予算取りやスケジュールが決めづらいという側面も。

辞書(じしょ)

翻訳作業に必要な用語が記載されている。市販の辞書とは若干意味合いが異なる。特に顧客ごとで使い分ける必要がある用語などを記載することで、その製品特性やサービスの特長などを分かりやすく伝えることができる。用語集、ターミノロジー、グロッサリーなどと同義。

出版翻訳(しゅっぱんほんやく)

洋書(ジャンル問わず)などを日本語に翻訳し出版する。または日本語書籍を海外へ多言語に翻訳する。報酬は印税方式。また最近では日本の漫画やアニメ、ゲームといった文化(サブカルチャー)を海外へ向けて発信することも増えている。。

シングルランゲージベンダー(しんぐるらんげーじべんだー)

単数の言語を取り扱う翻訳会社やローカライズベンダーのこと。多くの翻訳会社がここに当てはまる。対して、多言語の翻訳・ローカライズサービスを行っているベンダーをマルチランゲージベンダー(MLV)と呼ぶ。

※参考:ま行の「マルチランゲージベンダー(MLV)」をご覧ください。

スタイルガイド(すたいるがいど)

翻訳やローカライズ作業時に必要なルール。主に表記ルールや訳し方などが記載されている。スタイルガイドに準拠して翻訳を進めるのも翻訳者の実力の 1 つ。大手外資系企業などから支給されるスタイルガイドはゆうに 100 ページ以上を超える場合もある。

スクリーンショット(すくりーんしょっと)

マニュアルや取扱説明書などのドキュメント内にある実際のソフトウェアの画面のこと。文字通りスクリーンショットであるため、通常はそのまま翻訳せずに使用するか、翻訳・ローカライズ後の言語に開発されたソフトウェアから同じ画面を持ってきて使用する。

多言語、他言語翻訳(たげんごほんやく)

さまざまな言語へ翻訳したりローカライズすること。日本では主に、日本語から英語、中国語(簡体字/繁体字)、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語などへ展開することを指す。大手企業の場合には、10言語、20言語同時展開という場合もある。

多言語翻訳

ターミノロジー(たーみのろじー)

用語集、グロッサリーの別名。ほぼ同義で使用される。

単価計算(たんかけいさん)

原文の文字数やワード数をベースに金額を算出する計算方法。英語から日本語への翻訳では英単語数(ワード数)、日本語から英語への翻訳では日本語の文字数がベースとなる。現在はほとんどの翻訳の見積もりがこの方法に基づいて計算される。

チェッカー(ちぇっかー)

翻訳者から納品された訳文をチェックする役割。誤訳、訳抜けがないか、スタイルガイドに準拠しているか、クライアントからのその他の指示に準拠しているかなどを確認する。言わば、翻訳の品質管理の最終工程にあたる。レビューアとも呼ばれる。

DTP レイアウト(でぃーてぃーぴーれいあうと)

翻訳作業後の訳文をデータに流し込んで、体裁(見た目)を整えていくこと。DeskTop Publishing の頭文字。DTP オペレーターが行う。MS-OFFICE や Adobe FrameMaker(フレームメーカー)、InDesign(インデザイン)、QuarkXpress、Illustrator、Photoshop、Robohelp、MadCap など取り扱うアプリケーションは多岐にわたる。

テクニカルライティング(てくにかるらいてぃんぐ)

原稿を作成すること。製品の技術的仕様や特長など、様々な情報を盛り込む。主にマニュアル(取扱説明書)などを作成することを指す。コピーライティングとは異なる。

テクニカルライティング

テクニカルチェック(てくにかるちぇっく)

翻訳されたマニュアルや取扱説明書の内容が技術的な側面から正しいかどうかを判断するためのチェック作業。対義語としてリンギスティックチェックがある。

ドキュメント(どきゅめんと)

マニュアル、取扱説明書、カタログ、プレスリリース、契約書などの翻訳・ローカライズ対象原稿のことを指す。Webサイトローカライズ(ホームページ翻訳)やソフトウェアローカライズの場合には、その製品やサービスそのもののことを指す。

ネイティブチェック(ねいてぃぶちぇっく)

ネイティブスピーカーによるチェック作業のこと。日本でネイティブといえば多くの場合は、日本語から英語になるため、英語圏の人を想像することが多い。プルーフリード、英文校正、英文校訂、英文校閲などもほぼ同義。英文添削は異なる。

ネイティブチェック

プロジェクトマネージャ(ぷろじぇくとまねーじゃ)

大型の翻訳・ローカライズプロジェクトや長期の翻訳・ローカライズプロジェクトを管理するマネージャ。数万円から数千万円までプロジェクトサイズは様々ではあるが、すべてをプロジェクトとして捉え、見積もりから納品までを推進する役割。

翻訳支援ツール(ほんやくしえんつーる)

翻訳者が翻訳作業を行う際に使用する。主にマニュアル翻訳やWebサイトローカライズ(ホームページ翻訳)、ホームページ翻訳では、SDL TRADOS(トラドス)をはじめとして多くの翻訳支援ツールが使用される。機械翻訳や自動翻訳とは異なる。

TRADOS によるマニュアル翻訳

翻訳者(ほんやくしゃ)

翻訳作業を行うポジション。主にフリーランスが多く、翻訳会社や翻訳エージェントに登録し、仕事を請け行う。個人(SOHO)が多く、自宅で作業を行うのが一般的。個人事業主であるため、仕事の 1 から 10 までを自分で管理していく能力が求められる。高い専門性と翻訳言語の高い表現力が求められる。花形の職業ではあるが日々の勉強も必要になる上、強い責任感と向上心等も必須。

翻訳会社(ほんやくがいしゃ)

営業スタッフ、プロジェクトマネージャ、翻訳コーディネーター、翻訳チェッカーなどで構成される。大小さまざまな翻訳会社があり、それぞれに特色がある。

翻訳業界と翻訳会社

フィードバック(ふぃーどばっく)

クライアントからの訳文への修正指示のこと。最終的にどんな訳文になったのか、どんな訳文がクライアントの好みなのかが具体的に分かる。具体的でないフィードバックの場合は、改善のための対策が打ちにくいため、翻訳の品質向上にあたって遠回りになってしまうことがある。

翻訳、ローカライズのフィードバックの重要性

フォント(ふぉんと)

文字の種類。言語が異なると同じフォントサイズでも、見た目が変わってくるため適切なフォント、適切なフォントサイズに変更する必要がある。Webサイト(ホームページ)の制作やローカライズでは、翻訳、ローカライズ後のフォントに何を選択するかでデザインにまで影響を及ぼす。フォントデザインは見過ごしがちなポイントではあるが、ユーザに与える印象が大きいため、慎重に利用する必要がある。

ページバイページ(ぺーじばいぺーじ)

DTP 作業を行う際に原文どおりのページ構成で翻訳後のドキュメントを整えること。異なる言語に翻訳されると、翻訳された文章は原文と比較して長くなる傾向にある。そのため、原文で 1 ページ目に記載されていた情報が、訳文では、1 ページ目に収まらず、2 ページ目・・・と続いてしまうことがある。この場合、最終的なページ数などもさることながら見た目も変わってしまうことがあるため、フォントや行間などの調整を行うことによって原文と同じような体裁を保つ必要がある。

ホームページの翻訳

Webサイトローカライズとも呼ぶ。ある言語で書かれた ホームページを、使用する国や地域の言語に置き換えること。またできればターゲットの国や地域の商習慣や文化、伝統を意識して設計、ローカライズすることが望ましい。

Webサイト ローカライズ

マルチランゲージベンダー(MLV)(まるちらんげーじべんだー)

シングルランゲージベンダー(SLV)の対義語。多言語の翻訳・ローカライズサービスを取り扱う。通常、各国に支社を持っており、支社同士が連携することで大規模プロジェクトを進めることができる。

※参考:さ行の「シングルランゲージベンダー(SLV)」をご覧ください。

無料翻訳トライアル(むりょうほんやくとらいある)

クライアントが翻訳会社やローカライズベンダーを選定するために行う。主に翻訳の品質を見極めるものだが、トライアル時の翻訳の品質を信じて発注先を決定するためトライアルの品質だけが高く、実際の仕事は別の翻訳者が担当するという問題も起きている。

無料翻訳トライアル

 

また、フリーランスの翻訳者が翻訳会社に登録するために実施されるトライアルも無償で行われる。

ユーザーインターフェース(UI)(ゆーざーいんたーふぇーす)

ソフトウェアやアプリなどに出現するメニュー名などのこと。ユーザビリティを考える上で、UI や UX というのは非常に重要で、使い勝手が悪かったり、直観的な操作ができないと、ユーザは離れてしまう傾向が高い。そうならないために UI を使いやすくし、また理解できるように翻訳しなければならない。

有償翻訳トライアル(ゆうしょうほんやくとらいある)

翻訳会社がそれぞれ規定する無料翻訳トライアルの規定の分量より多い場合、クライアントの了解の上、定められた範囲を有償で行うことがある。

用語集(ようごしゅう)

ターミノロジー、グロッサリーの別名。ほぼ同義で使用される。

リライト(りらいと)

翻訳作業後にさらに文章を読みやすくするため、ブラッシュアップする作業。産業翻訳の場合は原文から離れないことが大前提のルールとして存在するため、クライアント側で手を加えることが多い。

リライト・編集

リンギスティックチェック(りんぎすてぃっくちぇっく)

翻訳者より納品された翻訳の表現、表記を中心にチェックすること。テクニカルチェックが対義語。

レビューア(れびゅーあ)

チェッカーと同義語。翻訳者から納品された訳文をチェックする役割。誤訳、訳抜けがないか、スタイルガイドに準拠しているか、クライアントからのその他の指示に準拠しているかなどを確認する。翻訳・ローカライズの品質管理の最終工程。

ローカライズ、ローカリゼーション(ろーからいず、ろーかりぜーしょん)

ソフトウェアや Webサイト(ホームページ)、マニュアル、取扱説明書、オンラインヘルプなど、製品・サービスを文化・習慣を考慮に入れて現地語化を行うこと。ローカライズを行うことで各国の市場に適切に対応したマーケティング戦略を可能にする。

ローカライズとは

 

ローカライズ、ローカリゼーションベンダー(ろーからいず、ろーかりぜーしょんべんだー)

ローカライズサービスを提供する翻訳会社のこと。各国に支社を持ち、支社間で大規模プロジェクトを推進する。

ワード数

英語から日本語へ翻訳する際に、元原稿(この場合は英語)の単語数のことを指す。このワード数に基づいて翻訳の見積もり金額を算出するのが一般的。紙原稿しかない、スキャンした原稿しかない、などの場合には、従来の「仕上がり枚数計算」方式を使用するが、データが存在する場合には、ワード数を数えて算出する。

ワンソースマルチユース

1つのアプリケーションから複数の異なる使用用途に展開すること。例えば、FrameMaker(フレームメーカー)で作成されたマニュアルを翻訳し、FrameMaker(フレームメーカー)の日本語版を作るだけではなく、そこから Webworks Publisher 等で HTML 形式に変換し、さらには RoboHelp や MadCap 等でコンパイルを行い、HTML Help を作成し使用するなど、ユーザに対して様々なタッチポイントを増やすことができる。

1×1 ソリューション

Adobe Acrobat(アドビ アクロバット)

アドビシステムズ社の製品。PDF ファイル形式が閲覧可能になる。翻訳業界では、PDF 形式でのファイルのやり取りが多く、コメント機能などの多機能性によって仕事のスピードが上がる。

Adobe FrameMaker(フレームメーカー)

アドビシステムズ社の製品。翻訳業界では、主にマニュアルや取扱説明書の制作で使用されることが多い。海外本社にて FrameMaker(フレームメーカー)によって制作され、SDL TRADOS(トラドス)を併用して日本語版マニュアルを完成させるのが主流となっている。FrameMaker(フレームメーカー)では索引機能や book 機能、コンディショナルテキスト、インセットテキストなどの高機能が搭載されているため、大量のボリュームのドキュメント(特にマニュアルや取扱説明書)を制作するのに向いている。 FrameMaker(フレームメーカー)+ TRADOS(トラドス)によるマニュアル翻訳プロセスは非常に有名で一般的。

FrameMaker(フレームメーカー)の機能と特長

 

TRADOS+FrameMaker

Adobe InDesign(インデザイン)

アドビシステムズ社の製品。大量のドキュメント制作のアプリケーションは、FrameMaker(フレームメーカー)から InDesign(インデザイン) へ移行すると言われている。実際に最近では InDesign(インデザイン)で作成されているドキュメントが増加傾向にあるため、今後は InDesign(インデザイン)が中心になると予想される。

TRADOS + InDesign

Alchemy CATALYST(アルケミー カタリスト)

ローカライズツール。主に UI(ユーザインタフェース)を翻訳する際に使用する。シンプルな操作でリソースファイルのほか、様々なファイル形式に対応している。インタラクティブな操作性により直感的に使用可能だが新しいバージョンの SDL TRADOS(トラドス)等ではカタリストを使用せずに UI(ユーザインタフェース)を翻訳することもできるようになっているため、市場シェアの変化が発生している。

Arbortext EPIC(エピック)

XML エディタ。XML/SGML コンテンツを強力にサポートする。

QA(Quality Assurance)(クォリティ アシュアランス)

翻訳やローカライズの品質チェックのこと。プロジェクト単位での仕事では、品質チェック工程も重要なプロセスになる。「どうチェックするか」「何をチェックするか」「誰がチェックするか」などきちんと決定し実行することで、より高い効果を発揮する。

Madcap(マッドキャップ)

MadCap Software 社。Robohelp の開発スタッフが設計、開発。Macromedia、Adobe による Robohelp の買収の経緯から、あらたに設計された Madcap Flare は、Robohelp のプロジェクトを利用できるため、Robohelp からの移行もスムースで大変親和性も高い。

 

ヘルプファイル翻訳

RoboHelp(ロボヘルプ)

アドビシステムズ社の製品。WebHelp や HTMLHelp などの様々なヘルプファイルを作成、コンパイルすることができる。ドキュメントの翻訳に代わり、ヘルプファイルで顧客への情報提供を行う場合に適している。

ヘルプファイル翻訳

SDL TRADOS(トラドス)

TRADOS(トラドス)社が SDL 社に買収されたことにより、SDL TRADOS (トラドス)として名称が変更。翻訳業界ではデファクトスタンダードとなっている翻訳支援ツール。TRADOS(トラドス)は、FrameMaker(フレームメーカー)や InDesign(インデザイン)、Word や HTML などの様々なアプリケーションに対応している。FrameMaker(フレームメーカー)や InDesign(インデザイン)で作成されたマニュアル翻訳など、大量のボリュームを処理するときに効果を発揮する。

TRADOS によるマニュアル翻訳

SDL TRADOS(トラドス)の解析アルゴリズム

Translation Memory(トランスレーション メモリ)

TRADOS(トラドス) を使用して生成される原文と訳文がセットになって取り込まれるデータベース。バージョンアップ時に、旧版とマッチング(解析作業)させることで、流用可能なものとそうでないものに分けることができる。

TM の精度について

WebWorks Publisher(ウェブワークス パブリッシャー)

FrameMaker(フレームメーカー)形式のファイルを HTML 形式へ変換するためのツール。同一内容のドキュメントをユーザの使用用途に合わせて様々なファイル形式で提供する「ワンソース マルチユース」というコンセプトが根底に流れる。

XML(エックスエムエル)

マークアップ言語。データの構造などを記述するための言語のこと。XML 形式でのドキュメント管理も増加傾向にあり、XML ベースでの翻訳・ローカライズ対応も迫られている。