今回はモバイルアプリビジネスにおける多言語化の必要性とビジネス収益について考察します。
世界中で使われるスマホ、アプリ
現在、ほとんどの方がスマートフォンもしくはタブレットをお持ちだと思います。そして、在宅時や通勤、通学などの移動中にアプリを使用されている方も多いのではないでしょうか。
Google が 検索結果に対してモバイル対応を含めていること、またモバイルがメインになりつつあるのも、モバイルユーザーが年々爆発的に増えているからだと言えます。
PC からインターネットにアクセスするのではなく、スマホからアクセスするのが一般的です。日常生活では、スマホのみが 90%で、PC からのアクセスは 45% となっています。
引用:LINE株式会社
〈調査報告〉インターネットの利用環境 定点調査(2018年上期)
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2018/2315
〈調査報告〉インターネットの利用環境 定点調査(2018年下期)
海外においても程度の差はあれ、同じ状況です。つまり多くのスマホ利用者がいると言い切っても過言ではありません。今、この瞬間もインターネットに接続している人が何億人もいます。
上記をはじめとしたら様々な調査結果から見て、ユーザ数が増えることはあっても、減ることはないでしょう。ビジネスという視点で見た場合、携帯端末メーカー、通信会社そして「アプリ開発会社」にとって、とても巨大なマーケットが目の前に広がっています。
多くの会社がその巨大なマーケットから果実を得ようと、我先に行動することになります。
また、スマートフォンやタブレットは世界共通の仕様ですので、iOS でも Android でも国境はあって無いようなものです。どの会社も日本だけに目を向けるのではなく、世界にも目を向けるのがごく当たり前になっています。
では、開発したアプリをどこに売っていけばいいのでしょうか?
世界は広いですし、日本と比較すると分かりにくいというのが正直なところではないでしょうか。
そこで今回は、アプリ開発会社様が海外進出を計画される場合に、参考のひとつとしてお考えいただける情報をまとめてみました。
アプリの国別ダウンロード数について
まず、海外進出を考える際、はじめにその国の「市場規模=アプリのダウンロード数」が重要な指標となります。アプリの市場データの分析を行なっている App Annie のサイトに記載されています。
Quick Summary of App Annie’s App Industry Overview 2017
https://splitmetrics.com/blog/quick-summary-of-app-annies-app-industry-overview-2017/
詳細は上記URL をご覧いただくとして、ダウンロード数1位は中国です。
1位:中国
2位:インド
3位:アメリカ
4位:ブラジル
5位:ロシア
2014年に本記事を公開した際は、1位はアメリカでした。(以下は当時の画像)
わずか数年のうちに中国、インドが台頭しています。
また、「ブラジル・ロシア・インドなどの新興国に存在感と勢いがあります」という記事内容でした。そしてその通り、この3国が上位に食い込んでいます。
もはや「新興国」などとは言えません。巨大なマーケットとなっています。
アプリから得られる収益について
アプリ業界全体における年間の売上として、2017年は2015年から105%の増加で860億ドルまで上昇しているそうです。ユーザの日常生活の中のアプリの位置づけがより重要度を増し、いかにお金を使っているかがよく分かります。
ちなみに、本記事公開時の 2015年では、以下のランキングでした。
しかし現在の収益のランキングでは、以下のようになります。
1位:中国
2位:アメリカ
3位:日本
4位:韓国
5位:イギリス
ロシア、ブラジル、インドなどはすでにダウンロード数ランキングで上位にいますので、徐々に売り上げは増加するであろうと予測されます。
新興国と先進国の特徴
「ダウンロード数」と「収益」の二つの視点で見た場合のマーケットの現況を見て分かることがあります。
この結果から、現時点では必ずしも「アプリのダウンロード数の増加=収益の増加ではない」ということが言えます。
これは非常に重要な考察です。
なぜならアプリ開発会社としては、ダウンロード数を伸ばしたいのか(ポテンシャル重視か)、すぐに収益を上げたいのか(手堅く行くのか)のどちらに重きを置くか、戦略的に考えることが求められるからです。
- 新興国:ダウンロード数増加(将来的なシェアを視野)
- 先進国:収益化(直近の売上が優先)
ゲームアプリだけでなく、ソーシャルコミュニケーションアプリや家計簿や決済サービスなどの金融アプリなど、様々な分野でアプリ開発はしのぎを削っています。ちなみにこちらも App Annie に記載があります。(こちらは 2018年)
A Year in Review: Mobile Highlights of 2018
https://www.appannie.com/en/insights/market-data/a-year-in-review-mobile-highlights-of-2018/
このように、Facebook Messenger がダウンロード1位です。つまり、どんなアプリであっても、ターゲットをしっかり定めて開発をしなければならないということです。
また逆に成功すればそれが大きな飛躍となるケースもあります。弊社でローカライズさせていただいた「アマネファクトリー様」の事例をご覧ください。
海外進出するターゲット国と自社ビジネスモデルの連携
アプリ開発会社が掲げるビジネスモデルも多岐に渡ります。
例えば、「広告枠の販売で収益を上げたい」と考えているのであれば、「ダウンロード数をいかにして増やすか」の視点が欠かせません。
反対に、「アプリへの課金で収益を上げたい」と考えているのであれば、「収益ランキングを参考にしたターゲティングおよびマーケット」が重要になります。
このように、何を優先とするかによってとるべき行動が変わってくると言えます。
まとめ
- 世界的に見て、モバイルアプリ市場は「ダウンロード数」と「収益」のいずれも拡大している
参入するチャンスは拡大しているが、同時に世界中がライバルになり、数も多いため、しっかりと戦略を立てなければならない。
- 現時点ではモバイルアプリの「ダウンロード数」増加=「収益」の増加とは必ずしも言えない
自社にとって優先順位が高いのは何かを明確にしなければどっちつかずに終わってしまうので、自社の戦略がどちらなのかをハッキリさせる。
- ビジネスモデルによって、どこの国に進出すべきかは変わってくる
日本語版を設計開発する段階から、進出すべきターゲット国(言語)を決定しておく必要がある。
いかがでしたでしょうか。海外進出を考えている貴社にとっての一助となれば幸いです。
また、これは大前提であり、当たり前の話ですが、そもそも「良いアプリ」でなければ、どんなに的確な戦略を持って、適切な海外マーケットに進出したとしても成功はあり得ません。
そして「良いアプリ」の条件として、ローカライズ(翻訳)の質も非常に大切な要素です。
現代はITの発達もあり、必ずしも翻訳者(翻訳会社)に頼る必要はない場合もあります。しかしながら、たった1箇所の翻訳ミスが、重大な問題を引き起こす可能性はありますし、過去にそういったケースも実際に発生しております。グローバル化を推し進めるということは、ミスもグローバルレベルで広がってしまうということです。
貴社の大切な想いを込めて制作したアプリには、正確な多言語翻訳を行うようにしましょう。
弊社ではアプリの多言語翻訳やローカライズサービスをご提供しておりますのでお気軽にお問い合わせください。