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ChatGPT と DeepL が当たり前の未来

2023年の大きなニュースのひとつに、あらゆる業界を騒がせている ChatGPT を代表とする生成 AI があります。事実、最近はお客様からも質問されるようになりました。

特に翻訳については、DeepL のような精度の高い機械翻訳の台頭もまだここ最近にもかかわらず、さらに ChatGPT の登場です。今後いったいどうなるのか、考えてみたいと思います。

ChatGPT を代表とする生成AI が翻訳する世界

ご存じの通り、ChatGPT は翻訳だけができるわけでありません。翻訳をはじめとした言語サービスは将来どうなるのかを ChatGPT に質問してみました。(ChatGPT 4を使用)

ChatGPT の回答は以下のようなものでした。

いかがでしょうか。

まず前提として、ChatGPT の答えをそのまま受け止める必要はありません。なぜなら ChatGPT は、過去のデータを参照して回答を作るからです。「この先どうなりそうか」という問いに対して過去のデータを参照して予測することは非常に重要ですが、未来は時にそれだけではない可能性があるからです。

一方で、ChatGPT の回答には一定の説得力があるのも間違いありません。例えば、大昔には、翻訳依頼のあった Eメールの翻訳などは現在では、DeepL などを使えばお客様側で簡単に行うことができます。ChatGPT の回答にあるように「日常生活などの基礎的なコミュニケーションなら機械で十分」と考えている方がほとんどではないかと思いますし、また事実そうなっていくのではないでしょう。

変化する翻訳ニーズや専門性

日常生活で使えるようになったからと言ってビジネスの現場すべてで使えるかどうかは別の話です。

そこで気になるのは、専門的な分野や先進的な分野など、よりビジネスに近い部分のコミュニケーションがどうなるかということです。これも合わせて ChatGPT に聞いてみました。

このように、ChatGPT 曰く、現時点では完全に置き換えられることはないという結論のようです。また翻訳や通訳だけではなくプログラミングやエンジニアリングについても応用可能であるはずなので、ChatGPT を使って DeepL のようなシステムを開発することもできるのではないかという素朴な疑問をぶつけてみました。

なるほど、やはりプログラミングやエンジニアリングという側面であっても、AI だけではまだ限界があるという回答です。人間が必要とされる「要件定義」や「クリエイティビティ」などはまだまだ AI には及ばないということです。

ちょっと意地悪ですが、さらに質問を重ねてみました。

謙虚・・・というか人間の存在意義を示してくれるような回答でした。

翻訳に関してもプログラミング/エンジニアリングに関してもですが、やはり「人間がいなければならない」という回答を返してくるわけです。そしてそれをどう捉えるかは私たち次第ではないかと思います。

「上手に」使い分ける人や企業が得をする

ここまで見てきたように「AI だけの未来」というよりは、まだ現時点では「AI +人間の未来」のほうが現実的のようです。

これはある意味で分かり切っていた結論ですが、大切なのは「上手に」使い分けることです。

Translation Memory が全盛の時代には「何でもかんでも TM に取り込めばいい」という発想をする企業がありました。

そうすることでマッチ率が高まり、翻訳コストは下がるからです。ところが TM の重要な要素のひとつである「一貫性のある品質」を見落とし、あるいは無視してしまいました。

TM の中にある文章を「そのまま使用することができる」のは便利な機能ですが、どんなドキュメントでも必ずしもその文章が「そのまま使える」訳ではありません。原文がマッチしているからそれをそのまま使えると考えるのはいささか乱暴ですし、事実、いずれかの工程で文章を修正することも多くありました。

つまりこの時点で TM の利便性を失っているわけです。

コスト重視の中で、明らかに文脈(コンテンツ)に即していない文章を取り込むことでリーダビリティを失うということは往々にして起きています。

企業戦略上、コスト重視は致し方ないという点もあるかもしれませんが、今回の機械翻訳や生成AI はより大規模で広範囲に(翻訳やローカライズの知識や経験がない企業にも)影響を与えているからこそ、前述のように「コストも下がるし、翻訳できているから問題ない」という流れになるのではないかと思います。

「何でもかんでも DeepL や ChatGPT で翻訳できる」という発想は、残念ながらそこに一抹の不安を抱かざるを得ないのです。

ChatGPT  や DeepL の特性を理解して使用できる企業こそが、その恩恵に預かるのではないかと思います。

生成 AI や DeepL の上手な使い方

MT+PE として使用/活用する

弊社でもご相談が増えておりますが、一番はやはりこれではないかと思います。機械翻訳をした文章をそのまま使うリスクを考慮すると、結局全部チェックしなければならず、しかしながらそのリソースを割くことができないお客様は、チェックやポストエディットを弊社に依頼するという流れです。

これはお客様の言葉を借りると

「仮に 機械翻訳の 99パーセントが正しかったとしても、残り1%にミスがあるなら全部チェックしないといけない」

ということです。

※内部資料ならまだしも(ダメですが)、外部に公開するドキュメントであれば上記は絶対に許されることはではありません。

機械翻訳+ポストエディット

機械翻訳の問題点を解決するポストエディットとは

大量のドキュメントの処理や意味を捉えるために活用する

一昔前は、マニュアルの翻訳といえば SDL TRADOS を代表とする翻訳支援ツールをメインに展開していましたが、現在はマニュアルそのものの翻訳ニーズが減少していること、Web やマーケティング資料の翻訳などが増えていることもあり、大量のドキュメントを高速で処理するというケースが少ないのですが、それでも一定の需要があります。

そういった際には、DeepL のような機械翻訳は有効に活用できます。

また一方で、「ひとまずどんな意味なのかを知りたい」という点にフォーカスすると、これらも機械翻訳や生成AI で意味を捉えることは可能です。

このように、それぞれのケースに応じて使用するかどうかを決めるべきなのです。通り一遍に何でもかんでも機械翻訳をしてしまうと、後になってそれなりのリスクがあるという事を自覚しておく必要はありそうです。

「正しい使い方」はありませんが、「上手な使い方」はあります。

そういった点において翻訳会社の持つノウハウや知見は役に立つのではないかと思いますので是非お気軽にご相談ください。


目的を理解した翻訳プロセスの確立

翻訳品質を安定させるために、翻訳支援ツールを導入したり、最近では機械翻訳(NMT)などを使用したりと、様々な方法があります。

また ISO 17100 のような翻訳に関する国際規格を取得し、運用するという方法もあるでしょう。

ISO17100:翻訳サービス提供者認証のご案内

https://shinsaweb.jsa.or.jp/MS/Service/ISO17100

Certification of service providers

https://www.jsa.or.jp/en/en_about11/

今回は、翻訳の品質そのものというよりはそれらを支える翻訳プロセスについて考察します。

基本の翻訳プロセスはシンプル

翻訳という業務では、例えば自動車メーカーのような複雑な工程は必要ありません。もちろん複雑にしようと思えばいくらでもできますが、それは単純に非効率ですので(何か特別な事情がある限り)誰もやらないでしょう。

例えば、あるマニュアルを翻訳する場合、作業工程は大きく分けると以下の2つになります。

  1. 翻訳作業
  2. Web やデザイン、DTP、字幕編集、ローカライズなど

 

この 2 つが大きな工程となります。翻訳というのは、原文を読んで訳文を作る作業、Web は構築から運用、またデザインはクリエイティブですし、DTP レイアウト作業というのは、訳した文章を、元データに流し込み、原文と同じような見た目にそろえることを言います。

ここから考えるとき、翻訳支援ツール SDL TRADOS などを使用すると、1 と2 をシームレスに連携させることができます。

TRADOS によるマニュアル翻訳

また機械翻訳などでもこれらが実現できるものもあります。

いずれにしても、この2つのシンプルな作業工程(翻訳作業と後工程)を理解していれば、大枠を外すということは無いでしょう。

あえて言うなら、翻訳の前工程として「原文を書く時には翻訳を意識しておく」というくらいでしょう。ただ今回はテーマとそれるため割愛します。

「翻訳作業前に原稿を読まないのか?」という質問

 

ドキュメントの種類によってプロセスは増減する

上記はマニュアル翻訳の場合ですが、例えば、Web サイトローカライズはもう少し工程が複雑ですし、アプリやソフトウェアのローカライズも同様に複雑になってきます。

ローカライズとは

翻訳して Web を構築するには、どんな環境なのか、ドメインはどうする、SEO はどうする、広告は、日々の更新は?というように細分化されていきます。

Webサイト ローカライズ

 

さらに、最近では Youtube を代表とする動画ファイルに字幕をつけるというケースでも作業プロセスは増えていきます。

https://www.trivector.co.jp/movie/

上記の弊社のプランの場合でも、

  • テープ起こし
  • 翻訳
  • 字幕編集

という3つのプロセスが含まれています(最小構成です)。

ドキュメントの量によってプロセスは増減する

また、ドキュメントの量によってもプロセスは複雑化していきます。

例えば、1冊のマニュアルなら問題ないですが、10冊のマニュアルを同時に翻訳しなければならないとしたらどうでしょうか?その場合、パッと浮かぶだけで以下のような検討項目があります。

上記はあくまで一例で、まだまだ検討項目はあります。

納品形式に合わせたり、複数のドキュメントを同時に進めるために必要な作業工程があり、それらをつなげていくことで翻訳プロセスは完成します。

もちろん、ただ単に「翻訳だけしてくれればいい、テキストファイルで納品してくれればいい」というケースももちろんありますが、お客様からすれば、「まとめてお願いしたい」というニーズは根強く、それには様々なメリットがあることもご存知でしょう。

プロセスはシンプルだが、シンプルだからこそ影響を受ける

このように、翻訳の作業プロセスは目的地によって増減があるのですが、シンプルな設計である分、どこかで仕様変更があった場合や条件などが変わった場合には、すべての工程で影響を受けやすいとも言えます。

例えば上記の検討項目で、「翻訳者の人数を3人としていたが、指定したツールが使用できない翻訳者がいたため、急きょ2名体制にせざるを得なかった」としたら、どうなるのでしょうか?

考えられるのは

  • リソース(この場合はツール対応可能な翻訳者)の再確保
  • チェックスケジュール、後工程のスケジュールの再調整
  • 既存リソースへの担当振り分けのやり直し
  • 諸々の作業にかかるコスト増加
  • TM のメンテナンス

あたりでしょう。プロジェクトが複雑になればなるほど「翻訳」という全体の中の再調整と、それに影響を受ける後工程での再調整が必要になります。シンプルなプロセスだからこそ、どれかひとつが変更になると、すぐに、直接的に後のプロセスに影響を与えてしまうと言えます。

テクノロジーで防げるものと防げないもの

また、SDL TRADOS や WordPress などのように IT ツールやテクノロジーで便利になった側面も無視することはできません。

従来は、すべて手作業で翻訳しなければならなかったことも、TM によって随分と楽になりましたし、HTML+CSS で構築していた Web サイトも、Wordpress のような CMS なら比較的簡単に Web を構築できるようになりました。

これは本当に素晴らしいことであり、今後も IT を駆使したプロジェクト推進はさらにバージョンアップして便利になっていくことでしょう。

しかし、一方でいつまでも変わらないものがあります。それは「原文の変更」です。

例えば、まだ何も着手していない(翻訳していない)状態であれば、問題ないですが、作業がある程度進んでから、実は文章そのものが変更になったり、追加・削除されたりすることがあります。

いわゆる最上流の部分が変わってしまうので、そのあとに続くプロセスがすべて影響を受けてしまうのです。

まとめ

このようなことが無いように、キックオフミーティングではしっかりと仕様を固めておくこと、またその仕様から変わってしまったものは、どういう扱いにするのかを事前に決めておくことが重要であり、もっと言えば「できるだけコストを抑えながらも良い訳文、良いコンテンツを作りたい」という目的をお持ちの場合には、仕様をしっかりと決めておくこと、またそれ以前にきちんと翻訳会社と話し合っておくことが重要だと言えるでしょう。

つまり品質とは、1つ1つの作業の精度を高めるだけでなく、それらを統括するプロセスのマネジメントも同時に考えていかなければならないということです。


翻訳の見積もりに必要な6つのポイント

翻訳の見積もりに必要な 6 つのポイント

翻訳やローカライズは、無形のサービスであるため、お見積りを作成する時点で、しっかりと仕様を決めておく必要があります。なぜなら仕様が間違っていると出来上がりもお客様の期待するものとかけ離れてしまうからです。

「概算お見積り」や「参考お見積り」であれば、分量が分かれば作成することは可能です。

しかし、実際の翻訳対象の分量に増減があったり、ドキュメントの内容が予想していたよりも専門的であったりすると結局は追加コストが発生してしまい、お客様にご迷惑をおかけすることがあります。

このような事態を起こさないためにも、可能な限り正確なお見積りを作成する必要があります。 正確なお見積りを作成することで、貴社の予算や納期管理が一度で済みます。

・追加コストの発生率を抑える=貴社の予算管理がスムースに

・追加作業の発生率を抑える=貴社の納期管理がスムースに

また逆に、正確なお見積りでなければ厳密な意味での比較は困難となります。結果として、貴社の選択が誤ってしまうこともあるかも知れません。

金額で判断して安い翻訳会社に発注したが、納品された訳文の品質が悪く、他社に発注しなおしたり、自分たちで手分けして翻訳せざるを得なかったり、というケースはよく聞く話です。

翻訳会社に正確なお見積書を作成してもらい、失敗のない選択をするためには、翻訳対象のファイルを渡し、構成や内容をチェックしてもらうのが最良の方法といえます。

そこで今回は正確な翻訳・ローカライズのお見積り作成に必要なポイントをお伝えします。

※データの機密性が高い場合には、NDA(機密保持契約書)を事前に締結するのを忘れないようにしましょう。

ポイント1:翻訳・ローカライズ対象ファイルの準備をする

最初に必ず準備しなくてはならないのは、実際の翻訳やローカライズ対象の原稿ファイルです。具体的には以下のような種類のファイル形式があります。これらのファイルを手元に用意します。

ドキュメントの修理一般的に使用されるアプリケーション
マニュアル(取扱説明書)Adobe FrameMaker(フレームメーカー)
Adobe InDesign(インデザイン)
MS-Word
ソフトウェアやユーザインタフェース(UI)Resource ファイル
exe ファイル
テキストファイル
xml ファイル
マーケティング(販促資料)Adobe InDesign(インデザイン)
Adobe Illustrator(イラストレーター)
Adobe Photoshoo(フォトショップ)
MS-Powerpoint
MS-Word
PageMaker
QuarkXpress
HTML
WordPress

ポイント2:翻訳・ローカライズ作業に必要な参考資料の準備をする

実際の翻訳、ローカライズ作業に参考となると思われるものを準備します。

例えば、マニュアル翻訳なら旧バージョンの原文と訳文のセット等。用語集やスタイルガイドがあればベターです。

※とはいえ、信頼性の低い参考資料や旧バージョンのドキュメントなどは翻訳作業の判断を混乱させる一因となりかねませんのでご注意下さい。

翻訳に役に立つ参考資料とは

ポイント3:翻訳メモリ(Translation Memory)の準備をする

SDL TRADOS(トラドス)等で作成されている Translation Memory=TM(翻訳メモリ)をお持ちの場合には、品質の安定、コストダウン、納期短縮に大きく影響しますのでご支給下さい。

※ただし、これらの参考資料や TM の品質、精度については、信頼性がある場合のみ有効となります。これは簡単に言えば、「過去の訳文を流用する」=「良くも悪くも、過去の訳文の品質を踏襲する」ことになるからです。

つまり、貴社が納得していない品質の訳文が登録されている Translation Memory(翻訳メモリ)は、新規翻訳の助けにはならず、むしろ判断を惑わせた上に品質も上がらないことになるため、不要であるという意味になります。

TM の精度について

旧バージョンの翻訳に信頼性がない場合には、別途 TM メンテナンスも承っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

ポイント4:依頼予定の作業範囲を確定する

どこからどこまでの作業の見積もりを必要とされているのかをお知らせ下さい。

作業範囲納品形式
翻訳作業のみテキストファイル等で納品
翻訳作業+ DTP レイアウト作業ご指定のファイル形式で体裁や見た目を整えて納品
翻訳作業+ DTP レイアウト作業+印刷紙媒体として納品
翻訳作業+ HTML 編集/コーディングHTML 形式で納品
翻訳作業+ HTML 編集/コーディング+Web サイト更新/アップロードWeb サイト更新
テクニカルライティング+翻訳作業原文、訳文共に納品

これらのローカライズプロセスがそれぞれコストに直結しています。ただ安くするのではなく、プロセスを理解し、不要なプロセスや作業を極力排除することで、翻訳やローカライズの品質を保持したままコストダウンを行なうことが可能になります。

ポイント5:希望のスケジュールを伝える

お客様のご希望のスケジュールをお知らせ下さい。

そのスケジュールにそった形で作業を進めるという条件での翻訳のお見積もりや、その他の様々なご提案を行なっております。特にご指定がない場合には、一般的な翻訳作業スピードで算出いたします。

翻訳業界と翻訳会社

ポイント6:対象読者は誰になるのかを伝える

どのような職種、どのような知識レベルの方が対象読者となるのかをお知らせ下さい。

経営者と技術者向けでは、ドキュメント内で使用する用語も異なります。一般消費者に、専門的な用語を羅列したドキュメントを配布しても、伝わらないことが多く、それではせっかく翻訳しても無駄になってしまいます。「誰が読むのか」、つまり対象読者をハッキリさせる理由はここにあります。

これらの情報をお見積り対象ファイルと共にお知らせいただくことで、正確な翻訳作業やローカライズのお見積りを作成することが可能になるため、貴社の予算管理や納期管理のお役に立ちます。

※個別案件によっては、上記以外の情報が必要な場合もございます。あらかじめご了承ください。その他ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

翻訳やローカライズに関して正しいお見積りを入手し、適正なコスト、適正なスケジュールを元に納得できる品質でのサービスを受けることは、貴社の将来への成長を促すための 1 つのキーポイントであることは間違いありません。

弊社では、ご予算やご希望の納期、そしてご満足いただける品質とのバランスを最適化して翻訳やローカライズ サービスのご提供を行なっております。


翻訳に役に立つ参考資料とは

翻訳に役に立つ参考資料とは

翻訳やローカライズ作業を行う際に、1 つの指針として重要になる参考資料や SDL TRADOS(トラドス)の Translation Memory。これらをどう扱えば翻訳、ローカライズ業務に有効なのかを考えてみましょう。

良い参考資料、悪い参考資料とは?

翻訳やローカライズにおいて、新しいビジネス、新しいお客様とのお取引は、特に注意すべき事項や確認すべき事項が多くなります。

翻訳作業前に確認すべき項目の中でも SDL TRADOS(トラドス)の Translation Memory(TM)や、参考資料をどう取り扱えばいいのかという点は企業ごとに異なります。そのため、まずは以下の点について確認が必要になります。

・お借りする TM(Translation Memory) や参考資料内での一貫性は取れているか?

・そもそも貴社が信用できる翻訳の品質となっているか?

少なくともこれらの基準をクリアしていなければなりません。

例えば部署ごとに、用語や表記の揺れがある場合には、対象の翻訳、ローカライズドキュメントはどれに従うべきかを事前に確認しなければ翻訳作業時に混乱を来たしてしまうばかりか、結果として貴社にご迷惑をかけてしまうことにもなります。

つまり、「どれに従えばいいのか判断に迷う」状態を作り出すことにより、かえって翻訳の品質を下げてしまいかねないのです。

TM の精度について

 

翻訳、ローカライズ作業に役に立つ、つまり良い参考資料というのは上記の条件を満たしているもののことであり、残念ながらそうでない資料というのはその取り扱いが非常に難しくなってしまいます。

この点においては、翻訳作業前の事前のお打ち合わせにより解消しておくことが必須となります。

良い参考資料とは「信頼できる品質であること」であり、「用語や表現が統一されている」ことなのです。

その逆の場合には、残念ながらあまり効果的とは言えません。

そのため、不要な資料や余分な資料は極力避ける、もしくは優先順位をつけるなどの対策が必要になります。

「参考」の意味を取り違えないこと

参考資料としてお借りしたドキュメントや旧データ。翻訳やローカライズ作業の際に、これらの参考資料ににどこまで従うのかなども大切なポイントです。

・用語や表記スタイルまで完全に従う場合

・内容の理解のための資料の場合

「参考」という意味を取り違えてしまうと、翻訳作業での方向性も変わってしまうことがあるため、事前に貴社、弊社ならびに翻訳者の三者間でのコンセンサスをとっておく必要があります。

SDL TRADOS(トラドス) Translation Memory 内の品質について

SDL TRADOS(トラドス) の Translation Memory においても上記に類似したことが言えます。TRADOS(トラドス)の特性である「旧版の品質をそのまま流用する」ことができるのは、大きなメリットですが、翻訳の品質の信頼性が低い場合にはその品質を引き継いでしまうことになります。

それは TRADOS(トラドス)の大きなメリットの 1 つである「翻訳の流用」がまったく逆の結果を生み、信頼できない訳文を踏襲、流用しながらバージョンアップを繰り返すことになるため、結果として貴社にご迷惑がかかる上、満足度の低い翻訳、ローカライズになりかねません。

こうなってしまうと、翻訳やローカライズ作業のみならず様々な疑問点、問題が出る可能性が高くなります。DTP やコーディングなどの後工程にも大きな影響を与える事になりますので注意が必要です。

TM の精度について

トライベクトルの翻訳・ローカライズ サービスについて

TRADOS(トラドス)Translation Memory(TM)や参考資料を有効活用し、貴社がご満足できるドキュメント制作を行うためのフルサポートを行っております。

翻訳、ローカライズサービス、翻訳コンサルティング サービスについてはお気軽にお問い合わせ下さい。


TM の精度について

TRADOS(トラドス)Translation Memory の精度

SDL TRADOS(トラドス)に代表される Transaltion Memory の翻訳品質の精度についてご存知でしょうか。実はこの盲点を理解するのとそうでないのとでは、長期的な視点から考えると品質的に大きな差が出てくるのです。

精度の高い TM と精度の低い TM

SDL TRADOS(トラドス) に代表される翻訳支援ツールの Translation Memory(TM)は、マニュアル翻訳などの大量のドキュメントに対し、翻訳の品質、納期、価格のすべてに対して良い効果を与えることが可能です。

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。

それは、「既存の Translation Memory(TM)の精度(=品質)は、そももそ信頼に値するものかどうか」という点です。

SDL TRADOS(トラドス)を代表とする翻訳支援ツールでは、解析結果として表示されるマッチ率に従って価格を決定するのが通常ですが、それに相当した作業だけで済まない場合も稀に起きることがあります。その理由を考えてみましょう。

TRADOS(トラドス) Translation Memory は以前のマニュアルのバージョンで翻訳した訳文が格納されています。

マニュアル翻訳等の大量の翻訳・ローカライズの場合には、TRADOS(トラドス)を使用することによって過去の訳文が良くも悪くも踏襲されていきます。

TM に格納されている訳文の品質がもし信頼できない、もしくは貴社にて納得できていないものである場合には、その TM を使用して翻訳すること自体が逆効果になってしまう可能性が出てくるためです。簡単に言えば、悪い訳文をずっと引きずることになるからです。

「何のための TM なのか?」という本質を考えずに使用することは、かえって余計なコスト増やスケジュールの延長を引き起こしかねません。

逆に、しっかりした信頼できる TM を使用すれば TRADOS(トラドス)のメリットを大きく得られる事になります。
そしてそれは TRADOS(トラドス)等の翻訳支援ツールのメリットを最大限引き出していることになります。

Translation Memory(TM)の精度を高めるには

では、その Translation Memory(TM)の精度を高めるにはどうすればいいのでしょうか?

すでに翻訳会社へ発注し、翻訳作業をしていく中で誤訳や品質の低い訳文が出てきてしまった場合には、そのセグメント(文章)は TM から取り除く必要があります。

Translation Memory(TM) 全体に比べて手動で処理できるレベルであれば問題ありませんが、品質の低い訳文の割合が TM の大多数を占めるようになってしまうと、そもそも Translation Memory(TM) 内の翻訳の品質自体に問題があると言えます。

この場合には、次回バージョンアップ時に Translation Memory(TM)の使用自体を回避する、もしくは再検討する必要があります。
それらを無視して使用し続けると、「品質の良い訳文を流用していく」という TRADOS(トラドス)のメリットが失われ、主目的から外れてしまうからです。当然のごとく、それは貴社にとってもデメリットでしかありません。

Translation Memory(TM) の精度を高く保つためには、

・最初の翻訳の品質をきちんと検証して信頼できる訳文を登録する

・Translation Memory(TM) のメンテナンス、更新、管理を定期的に正しく行う

ことが必要です。

地道な作業の繰り返しになってしまいますが、これこそが王道であり、長期的視点から見た場合には、翻訳の品質を安定させ向上していくうえで最も効率的であると言えます。

また、すでに翻訳品質の信頼ができない Translation Memory を保有している場合にはどうすればいいでしょうか。

この場合には貴社のご予算やスケジュールなども関係してくるため一概には申し上げられませんが、翻訳会社によっては、TM のメンテナンスのみを行うサービスを提供している場合もありますのでこれらのサービスを利用してみるというのも良いかも知れません。

過去の訳文を正しくバージョンアップに使用することで貴社のマニュアルやその他ドキュメントの精度が上がることが本来の目的であるならば、見落としがちな Translation Memory(TM)についての管理にも気を配る必要があるのではないでしょうか。

トライベクトルのTranslation Memory メンテナンス サービスについて

既存の TRADOS(トラドス) Translation Memory に対してメンテナンスすることでより効果的に TM を使用して頂くことが可能です。また、TRADOS(トラドス)によるマニュアル翻訳も可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。

TRADOS によるマニュアル翻訳