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「一貫性」とブランド構築

あなたは「一貫性」がありますか?

「一貫性」という言葉は大変重要なキーワードです。これは翻訳だけでも、法人だけでも、ビジネスだけでもなく、広範囲にわたって重要な概念です。

ビジネスで言えば、一貫性がない場合、営業マンが「以前と言っていることが逆」になってしまったり、「そもそも話していることに脈絡がない」ことになってしまったりと、相手の不安を与えるだけです。「原因と結果の法則」にもあるように「○○があるから□□になる」というロジックが欠如していればビジネスでは信用してもらうことは困難でしょう。

信用できないからです。

「一貫性」というのは、簡単に言えば、「筋が通っているかどうか」ということです。

cons

ライティングや翻訳、Webサイトでの一貫性とは何か

一般的な概念の「一貫性」に準拠しますが、弊社の翻訳業務やライティング業務に関連付けて考えてみると、具体的には以下のようなポイントが「一貫性」として重要だということが分かります。

文章を書く(ライティング)時の「一貫性」とは

これは表記ルールやスタイルガイド、用語集などのことです。このルールやスタイルがないドキュメントは読みにくくなります。例えばこちらは翻訳業界の用語集です。

翻訳、ローカライズ用語集

また、スタイルというのは、例えば本を読むときに、1行目は「ですます調」で書いてあるのに、2行目から「である調」になれば誰でも違和感を覚えますね。

そういった大切なことは、最初にルールや表記スタイルを決めておき、それに従って文章を書くことが求められます。ちなみにこれは翻訳でも同じことが言えます。

consistency

 

「一貫性」は継続すれば「信頼性」に変わりますが、「一貫性」の失われた文章はその「信頼性」も同時に失っていることになります。

これは文章だけでなく人間そのものも同じでしょう。

デザインの一貫性

例えば Web デザインでも「一貫性」は重要です。

Webサイト全体のデザインの方向性やテイストを揃えておかなければ、ユーザビリティという側面でも、また単純に、そのサイトの見た目からもおかしな印象を与えてしまいます。

こんなことはあり得ませんが、例えば、トップページは青がベースカラーなのに、2ページ目だけ脈絡もなく赤になっている、グローバルメニューもページごとに違っている(これをグローバルメニューとは呼ばないかもしれませんが)というような Webサイトは使いにくいでしょう。

これも大切なのは、(当たり前ですが)事前に仕様を決めておくことです。

ターゲット(ペルソナ)の設定や、自社の強みの分析など、様々な角度から内容を吟味してそれらを一貫性のあるデザインで表現することが大切です。

以上のように、これらは極端な例ですが、そういうことが「一貫性」を担保する要素であることは間違いありません。

「一貫性」を確保するために

上記の例のように、一貫性を持つことは大変重要であり、弊社のコミュニケーションサービスのひとつである「翻訳・ローカライズ」事業においても同様です。

翻訳・ローカライズの場合には、

  • 表記スタイルはどうするのか

・ですます調、である調のどちらなのか?
・カタカナ語の連結時の間のスペースの有無は?
・サーバ、サーバーなどの音引きはどうするのか?

  • 専門用語は?

・用語集を準備して同じ訳語を使用できないのか?

といったものが代表的かもしれません。

ちなみに宣伝になってしまいますが、弊社ではお客様の一貫性を補強する上で「用語集作成プラン」をご用意しています。

用語集構築・運用

これらをご利用いただくと、用語や TM(Translation Memory)の一貫性を保つことができますので、当然ながら翻訳の品質を向上させることが可能になります。

「 一貫性」がもたらすメリット

逆に、一貫性のある文章やデザインといったものを作り上げていくと、いくつかのメリットが生まれてきます。

貴社ブランディングに好影響

大きく言えば「どう見られるか」「どういうイメージを持ってもらえるか」に良い影響を与えることができます。それは企業イメージにつながり、ビジネスを左右することにもなりかねません。(個人でも同じことが言えます)

「○○はこんな会社だよね」「○○と言えば」という印象は、こういう些細なところから始まっていきます。

ユーザビリティの向上

読み手が読みやすいと感じる文章、ユーザが使いやすいWebサイトは、(なかなか気づかれないことも多いですが)実は一貫性を保ちながら様々な工夫が施されています。

使いやすい(ユーザビリティ、アクセシビリティ、リーダビリティ)というのは、やはりユーザ側にとっては大変大きなメリットです。そしてそれは結果として、そこまで気を遣って制作している側へのプラスの評価に変わります。

差別化要因

当然ながら、一貫性のある企業は、ある一定のブランド価値を醸成しますので、そうでない企業と比較すると安心感、信頼性が異なります。一貫していることは、安心材料になるのです。

そしてその安心感は、サービスや商品購入の選定の際にも重要な差別化ポイントです。

常に「一貫性」への挑戦を続ける

これまで見てきた通り、ユーザはあらゆる情報を意識的、無意識的に取得し、総合的に判断します。その判断基準に「一貫性」が含まれているのは周知の事実です。

常に自社として「どうあり続けるか」が問われています。

そうはいっても、これらは簡単なことではありません。目先の利益に惑わされることもあります。一貫性を失ってしまうこともあるかもしれません。企業サイズが大きくなればなるほど、関わる人員が増え、理解度の差ができます。一貫した行動を取るのは容易ではありません。

しかし、ライティングでも翻訳でも、Webサイトの制作でも、企業でも、個人でも、一貫性を確保することは戦略ポジショニング面でも重要なことです。

実は、顧客やユーザはその一貫性を無意識的にも意識的にもいつも観ていることを理解しておくことです。自社のブランドをどう構築するのかは、経営理念にも関わってきますし、各ドキュメントの構築や運営方法に大きなインパクトを与えることになるため、ぜひじっくりと腰を据えて取り組んでみましょう。

ご参考までに弊社では以下のガイドブックも取り揃えておりますのでご興味があればお問い合わせください。

今すぐできる!知識・経験ゼロの中小企業経営者向けマーケティングガイド

弊社は「お客様のマーケティングチームの一員として」翻訳をはじめとした各種マーケティングサポートを行っておりますが、常に「一貫性」を保つべく、日々努力していきます。

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壁が壊れるとき

既存の枠組みが壊れていく過渡期

今回は、映像翻訳と産業(実務)翻訳との垣根が壊れつつある点について、記載したいと思います。

弊社では「テープ起こし+翻訳+字幕編集」までを一式 20,000円(税別)でご提供する字幕翻訳プラン [FUNSUB]があります。

字幕翻訳プラン FUNSUB

本プランは、大変リーズナブルであるため、海外本社で制作された動画をマーケティングツールとして、また PR やプレゼンに使用したり、展示会で流したりと様々な使い方をされていらっしゃるお客様が多くいらっしゃいます。

弊社ではこのようなニーズに数多く応えるべく「字幕翻訳プラン」をご提供しておりますが、今回はそこから得られた知見をご紹介したいと思います。

誰もが動画を撮り、編集できる時代がやってきた

Youtuber(ユーチューバー)と呼ばれる人々が徐々に増えています。自分で撮影した動画を Youtube にアップロードして閲覧者数を増やして広告収入を得るという流れが生まれつつあります。

Youtuber とは

https://ja.wikipedia.org/wiki/YouTuber

これまで、動画の撮影には高価な撮影機材や知識、優秀な撮影クルーが必要でした。そうしなければ動画や映像を撮影することなどできなかったのです。

しかし今は違います。

簡単な動画であれば携帯やスマホでも撮影ができ、そしてアプリ等で編集ができ、アップロードも可能になります。すべてが自分ひとりの「手のひらの中」で完結します。
そしてこのことは従来のビジネスを大きく変化させるほどのインパクトをもっていました。もちろん、簡単になったことによって、Youtuber という職業だけで生きていくというのは決して楽ではないということも調査の結果明らかになっています。

ユーチューバー、成功しても生活苦しい恐れ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-02-28/P4UN9V6TTDSW01

個人利用から企業利用へ

このように誰もが簡単に動画を撮影できるようになると、当然それは個人レベルだけでなく企業レベルでも行われるようになります。

非常に安価な導入コストで、訴求力の高い動画を作ることができると気づいた企業は会社案内や導入事例、インタビュー、製品や商品の解説用の動画、製品の操作方法など、様々な種類の動画を作るようになりました。

動画による導入事例制作プラン

http://casestudy.trivector.co.jp/price_movie.html

具体的に考えてみましょう。

例えば、海外で撮影、制作された動画があります。
ビデオには CEO が登場し、今後の会社の戦略や方向性などを語っています。当然ながら日本支社をはじめとした各国の支社のスタッフにも同様のメッセージを届けなくてはなりません。

わずか 5分程度の動画ですが、理念の共有は非常に重要ですから、それらをしっかりと伝えなくてはなりません。さもないと、一丸となってビジネスを推進することはできないからです。しかし異なる言語のスタッフに CEO のメッセージを伝えるには、以下の 2つの方法しかありません。

  • 字幕を入れる
  • ナレーション(音声)を入れる

ビデオの内容をしっかりと理解してもらうことが目的であり、そのためには上記のいずれかの方法を選択する必要があります。

具体的には、複数の国でビジネスを展開しているなら、多言語で字幕を入れるか、または多言語でナレーションを入れることになります。(ここで弊社の字幕翻訳プランやナレーションプランをご利用いただいております。字幕翻訳プランでは、英語のみならず、中国語や韓国語の字幕編集の対応も可能になりました)

  •  字幕翻訳プランのポイント

http://www.trivector.co.jp/movie/points/

  • 字幕翻訳プランの中国語、韓国語

 http://www.trivector.co.jp/movie/service/pricelist/

こうして企業は、これらのプランを活用しながら、自社のメッセージを内外に発信していきます。

  • 字幕翻訳プラン 制作実績

https://www.trivector.co.jp/movie/result

映像翻訳と産業翻訳(実務翻訳)との融合が始まり、垣根が崩れるとき

上記にあげた例のように、一般企業が「字幕翻訳をやりたい」という流れが加速してきました。
顧客のニーズが、それまで「映像翻訳」と「産業翻訳」とを明確に分けていた垣根を崩しつつあるのです。
ところが、翻訳サービスを提供する側としては、そこだけに注目してはいけません。

「一般企業や個人が動画を自由に使えるようになってきた」という事実を見つめたときに本当に考えないといけないのは「映像翻訳」との違いを理解しておくことです。

そもそも翻訳業界は、産業翻訳、映像翻訳、出版翻訳に分けられます。

3fields

 

翻訳業界と翻訳会社

映像翻訳は、字幕翻訳などとも呼ばれますが、一番わかりやすいところだと映画の翻訳が象徴的です。

例えば、日本で作られた映画を世界中の人に見てもらうために多言語翻訳を行ったり、ハリウッド映画を日本語の字幕や音声ナレーションをつけたりする仕事です。

この場合、どちらも役者の台詞の意味を考え、決められた文字数の中で表現することが求められます。文字数がオーバーしてしまえば、画面が切り替わってしまい、字幕そのものの意味がなくなってしまうためです。

産業翻訳も文字数制限がないとは言いませんが、映像翻訳の方がはるかに厳しいでしょう。これらを踏まえて、映像翻訳や字幕翻訳と呼ばれる分野と、産業翻訳や実務翻訳との「境目」はどこにあるのかを検討してみたいと思います。

一般企業の意図とは

まず初めに、この流れの中で特に注意しなければならないのは、一般企業が「字幕をつけたい」といったときに、一体どういうものを「完成品」としてイメージしているのか?ということです。

業界人であれば、「映像翻訳はこういうもの、産業翻訳はこういうもの」という括りやルールを知っているので、実はこの 2つは似て非なるものだということが分かります。ところが、クライアントはそこまで知らないことが普通です。

 「自社の動画に字幕を入れたい。きっと映画の翻訳みたいになるはずだ」

という完成イメージを持っている方が圧倒的に多いのです。(もしかしたら、翻訳関係の方もそう思う人がいるかもしれませんが・・・)

そしてこのギャップが、産業翻訳における字幕翻訳に対するクレームを生み出すことがあります。この違いを理解してもらうのはなかなか大変です。実際にはなかなかそこまで期待通りの形にはなりにくいからです。

「 映像翻訳の字幕翻訳」と「産業翻訳の字幕翻訳」の違いとは

通常、字幕翻訳といった場合、字幕は映像と一緒に表示されないといけないため、当然ながら文字数の制約を受けます。

例えば、日本語の場合、文字数制限は「1秒間に3文字~4文字以内」と言われています。

これ以上の文字数を入れて表示させたとしても、読みきれずに次の文章や画面に移ってしまうため、意味がありません。

どんなに素晴らしい文章であっても、観客に読まれなければ何も伝わりませんから、これは映画であろうが企業の紹介動画であろうが絶対のルールだと言えます。

では産業翻訳の字幕翻訳と映像翻訳の字幕翻訳では、いったい何が違うのでしょうか。

それは「求められる翻訳」です。

具体的には「もっと映画のセリフっぽく」とか「もっとこなれた日本語で」といった内容です。一般企業の担当者が上記に述べたように「映画のように翻訳される」と思っていれば当然の要求として出てくるのです。

しかし、産業翻訳(実務翻訳)では、それがなかなか難しい。

なぜ難しいのでしょうか?

誤解を恐れず言えば、映画では台詞の意味を理解して翻訳するために、情報の取捨選択を行います。そうしないと定められた文字数内に収まらないからです。
ところが企業の動画では、(勝手に)情報の取捨選択をした場合、それは「誤訳」や「訳抜け」と指摘される可能性があります。このギャップがお客様の期待を裏切ってしまうことがあります。

さらに、一般企業の作る動画というのは、映画のような作品ではありません。PR 用や説明資料のような何らかのはっきりとしたメッセージを持っているものです。映画とは違います。

つまり、その作品の意図を伝えたいわけではないので、解釈が異なり、企業ごと、担当者ごとに「訴えたいポイント」が違うことがあります。そのために(ある意味)翻訳作業時に勝手に文章を丸めたり、縮めたり、付け足したり、端折ったりすることはできません。原文にある情報を過不足なく翻訳しなければならないのです。観客の解釈に伝えたいことを委ねるということではありません。

しかし、それを知らないお客様の方が多いでしょう。

「もっと短くしてほしい」
「もっと日本語っぽくしてほしい」

こういったリクエストと実態がかけ離れてしまうのは、取り扱っているのものがあくまで産業翻訳や実務翻訳においての「字幕の翻訳」であり「字幕の編集」だからです。
お客様が想像する「字幕編集」や「字幕翻訳」は映画の字幕なのです。

ここに、「映像翻訳の字幕翻訳」と「産業翻訳の字幕翻訳」の違いが明確に出てしまいます。

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翻訳者リソースの問題

また一方で、翻訳者リソースの問題もあります。以下は、極端な例ではありますが、理解しやすくするために二分します。

  •  映像翻訳者は一般企業の求める字幕翻訳はできるのでしょうか?

映画の会話や台詞を翻訳するスキルはあっても、もし製品の紹介動画なら、専門知識が必要な場合もありますし、独自の判断で内容を端折ってもいいのでしょうか?

  • 産業翻訳者は一般企業の求める字幕翻訳はできるのでしょうか?

今度は逆に、産業翻訳者は翻訳はできても、映画や映像のように(できる限り)日本語を短く表現したり、文字数制限に対応することができるのでしょうか?

では、一般企業や個人が作成する動画に字幕をつけたいと思ったとき、どちらの翻訳者がよりスムースに対応できるのでしょうか?そもそも、そこに明確な回答はあるのでしょうか?

明確な線引きは難しいかもしれませんが、何らかの棲み分けが必要になるように思われます。

大切なことは「目的」を見失わないこと

いかがでしょうか。
これらの違いを一般企業のみならず、翻訳会社も理解しなければなりません。そして当然ながらクライアントに説明する必要があります。結局のところ、動画を使用する目的が異なるためにこのような問題が起きるのです。

映像翻訳は、作品そのものを取り扱っています。映画なら作品それ自体が一人歩きしていきます。
ですからきっちりと訳文を作り、自分たちの手を離れても誤解を生むことなく「伝わる」ものではなくてはなりません。また観客の解釈に委ねるという部分も大きいでしょう。

そのため、字幕もナレーションも同じ機能を持たなくてはなりません。

一方で、一般企業の動画は、あくまでコミュニケーションツールです。この動画そのものを販売するのではなく(そういうケースもあるかもしれませんが)、商品や製品を販売するための、または社員に大切なメッセージを伝えるための補助的なツールです。
つまり、クライアントの「ニーズありき」になるため、毎回求められる仕様もバラバラになります。

そして目的が違っていればやり方も変わりますし、リソースもプロセスも変わります。

目的を失わずに字幕翻訳を行い、字幕翻訳を行うことが大切です。

  • 映像翻訳、映画の翻訳レベルの品質を求めるのか(映像翻訳としての字幕翻訳なのか)
  • 動画を活用できるレベルの翻訳を求めるのか(産業翻訳としての字幕翻訳なのか)

これによって発注先も翻訳者リソースも変わります。大切なのは「何のためにそれをするのか」という目的を失わないことです。やみくもに映画っぽさを求めるのではなく、目的をもった動画の制作や動画の編集、字幕翻訳などを行うべきではないでしょうか。

なお、弊社ではこれまで述べてきたことをしっかりと説明し、ご理解いただいた上でご発注をいただいております。

  • 字幕翻訳プラン 制作実績

https://www.trivector.co.jp/movie/result

誤解されがちですが、産業翻訳の翻訳品質が映像翻訳より劣るとか、またはその逆があるということはありません。単純比較できないものだからこそ、お客様が勘違いされたりするので、私たちのしっかりとした説明が必要なのです。

※本記事はあくまで現時点での見解であり、ご自身の責任においてご理解ください。

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翻訳の功と罪

世の中に存在する多くの翻訳サービスから、どれを選択するか

いまや翻訳サービスは、翻訳会社だけが行なうものではありません。IT 企業が自動翻訳(機械翻訳)を開発したり、子会社を作って翻訳サービスに参入したり、外に目を向ければ、中国やインドなどの低価格の外資系ローカライザーが群れを成しています。

さらに機械翻訳の世界は日々進化しており、ちょっとした翻訳はそれで済んでしまうこともあります。Google のディープラーニング(AI)技術によって翻訳の精度が飛躍的に高まったのも記憶に新しいところです。

また学校教育や子供の頃からの教育によって英語をはじめとした母国語以外の言語スキルがアップすることで、翻訳そのもののニーズがなくなってしまうということも起きています。

そして、その波は今後もとどまることを知らないでしょう。

ナレッジベースの「機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール」にも記載していますが、Google 翻訳をはじめとした機械翻訳は精度があがり、SDL TRADOS(トラドス)をはじめとした翻訳支援ツールはバージョンアップを繰り返しています。

このように「人の手による翻訳」以外にも多くのサービスが乱立している世界から、「自社にあったものはどれか?」を選択するのは、容易なことではありません。

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翻訳業界の変化

このように、あちこちから変化が起きている翻訳業界ではありますが、それはお客様側から見たとき、「選択肢が多すぎる」という状況とも呼ぶことができます。

そして、結果として「どれにすればいいのか分からない」という事態に陥ってしまうこともあります。それだけドラスティックに変化しているのが翻訳業界なのです。

翻訳には、資格が不要です。明日から「翻訳者をやります」といえば出来てしまう世界です。だからこそさまざまなサービスが生まれては消えていきます。

クライアントとしてどこに発注するのかは、今後も重要な判断を迫られる

弊社にお問い合わせいただくお客様にもいくつか種類があります。

  1.  純粋に専門性の高い翻訳サービスを探しているお客様(良いものを作りたいお客様)
  2.  翻訳以外の色々と手間のかかることも全部任せたいと考えているお客様
  3.  とにかく急いでいるお客様
  4.  金額の安さのみで探しているお客様
  5.  下請けとして探しているお客様(翻訳会社)

 

弊社の定義する「お客様」は、1と2(まれに3)のみです。

これは前回のアンケートにもあったように、弊社のお客様に限っては「金額、品質、納期、対応」の4つのバランスを考慮し、ご検討いただいた上でご発注いただいているからです。

ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

それ以外のお客様は、弊社の定義するお客様ではないため、仮に受注してお渡しできたとしても、クレームになったりトラブルになったりすることがあります。

十分な設計や準備なしに「お客様のご希望されるレベル」でいいものを作ることはできません。

こういったことを考えると、結果としてお互いに不幸になってしまったり、結果として余計に時間を喰ってしまったといういことになりかねません。

しかしこれはお客様が悪いのでしょうか?その答えは、NO です。その理由を説明いたします。

翻訳業界を衰退させる参入方法

どの業界も同様ですが、商品やサービスが「コモディティ化」し始めると、それらは衰退していきます。

例えば、これまで述べてきたように翻訳業界はいくつかの要素が重なり合っています。

  •  翻訳サービス経験のない企業の参入による「翻訳の理解不足によるサービスの低下」
  •  過度なグローバル化(海外ローカライズベンダーの価格の安さ、品質は不明)
  •  機械翻訳による価格破壊(ある一定層に対して)
  •  上記に影響されるため、翻訳会社の単価の下落および翻訳者への価格の圧力、そして品質の低下

何処にでも起きていることで翻訳業界だけの話ではありません。上記の流れは、ある意味ごく自然なことと言えます。

本質的な問題は上記ではなく、お客様がこの状況下において最適な選択肢を選ぶための「正しい判断基準がない」ということです。

「正しい判断基準」がないというのはどういうことか

「正しい判断基準」がないというのは、以下のような例が挙げられます。

  • マニュアルでもカタログでも契約書でもなんでも「とにかくコストを下げる」という理由で翻訳支援ツールを使う(コンテキスト=文脈などが無視され、読みやすさが失われることがある)
  • 誰が読むのか、対象読者など想定せずにドキュメントの性質を無視して翻訳を行なう
  • 自社にとっての「良い品質」がどういうものかが明確でないため、分かりやすい「価格」だけ面で翻訳会社や翻訳サービスを選んでしまう

翻訳、ローカライズの品質とは

 

このような基準で選んでしまった場合、想定していたものとは違った翻訳品質になってしまう可能性が高いです。

そして、毎回同じように発注することで、どんどん不満が増えていくことになります。

誤解されるかもしれませんが、これは「お客様が悪い」のではなく「翻訳業界が悪い」のだと考えます。

賛否両論ありますが、「自分たちの仕事は専門性が高く、高度な仕事なのだ」という価値観から、昔ながらの「翻訳家の先生」といった風潮が残っていることは完全に否定できません。(今はほとんど見かけなくなりましたが)

それは作り手のプライドであり、失ってはならないものですが、しかし一方でそれだけではいけないというのも事実です。

専門性の高い仕事であれば、そこに対してのフィーはもちろん正当でなければなりません。しかし、それをお客様に理解してもらうには、その理由をしっかりと「説明する責任」もまたあるのではないでしょうか。

翻訳はたしかに「職人的な世界」ではありますが、ある種、そこにとどまってしまった時代があったからこそ、IT企業の翻訳サービスやクラウドサービス、機械翻訳などが入る余地があったのではないでしょうか。

いや、とどまらなかったとしてもこれらのサービスは参入したでしょう。しかし、その参入の仕方は少し違っていたのではないかと思います。

安さだけで参入できる業界は、それを意識しすぎてしまうと、自分たちの存在価値を見失ってしまいます。当たり前の話です。

自分たちが、「翻訳という仕事を通じて何を伝えていきたいのか」を考えたとき、その「想い」を捨ててしまうと価格競争に巻き込まれたり、仕事が取れなくなるため、自ら「専門性の高い」はずの「翻訳の価値」を下げてしまっているのだと思います。

そしてそれは結果として、市場のコモディティ化を生み出し、お客様側も正しい判断基準を持つことができずに金額のみで判断したり・・・というスパイラルを作っているのではないでしょうか。

大切なのは「翻訳の基準」を作ることであり、翻訳業界全体の「ものさし」を持つことこそ、これからさらに迫りくる機械翻訳や翻訳支援ツールの進歩、海外ベンダーとの競争、そしてお客様の多様な判断基準や求める品質に光を当てることではないでしょうか。

翻訳や通訳は、世界に橋を架けるための大変素晴らしいコミュニケーションツールです。

海外にしかないドキュメントを英語の読めない日本人に紹介し、その書物を読んだ読者に感動や知己を得たり、日本の素晴らしい「Made in Japan」製品が海外に渡り、海外ユーザーが満足し、生活が豊かになるのは、翻訳をはじめとしたコミュニケーションサービスがなければ起きないものです。

だからこそ、その思いをしっかりとお客様に説明し、ご理解いただき、ドキュメントの用途やお客様の諸条件とつき合わせ、ビジネスとしてきちんと推進することが本当に大切なことではないかと考えています。

コミュニケーションを提供する企業が、お客様とのコミュニケーションを端折ったり、怠ったりしてはならないのです。

しっかりコミュニケーションをとることによって、翻訳サービスの価値を認めていただき、そのサービスをご利用いただければ、お客様だけでなく、その先のお客様にも、そして私たち翻訳会社も、そしてもちろん翻訳者も満足度が高くなるのではないでしょうか。

翻って、弊社は何が出来るのか。弊社の経営理念に基づいたコミュニケーションサービスのひとつである翻訳サービスやローカライズサービスに付加価値を与え、お客様のご満足を引き出し、より一層高いレベルへ向かうことができるのではないかと考えています。

経営理念

https://www.trivector.co.jp/company/mission/

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