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- ローカライズの目的は対象国でのビジネスの成功
- ローカライズとは製品を対象国の文化や商習慣等に適応させること
- メディアやドキュメントごとにローカライズ作業のポイントが異なる
目次
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ローカライズ/ローカリゼーションとは、 Webサイト(ホームページ)、アプリ、クラウドサービス、付随するマニュアルやオンラインヘルプなど、貴社の製品・サービスをターゲット国の文化や慣習、法律などを考慮に入れ「現地語化」を行うことです。
その理由は、対象国における貴社ビジネスのスムーズな成功のためです。
例えばそのために、外資系企業が日本市場に進出する際には、製品やサービスが英語版のままで営業するよりも、日本語版として製品やサービスを出荷・投入する方が、当然ですが市場に受け入れられやすくなります。
また逆に、日本企業の海外進出の際には、単位表記や文字コード、キーワードなどをはじめとした対象国の商習慣や文化、法律などの違いを考慮に入れた上で適切にローカライズを行う必要があります。
いずれの場合でも以下のような検討事項は押さえておく必要があります。
検討事項 | 解説 |
---|---|
対象国の商習慣 | ビジネスを行う上でどのようなやり取りがあるのかなど、デフォルトとなっている部分の理解 |
対象国の歴史・文化 | 基本的な歴史や文化などの背景情報 |
対象国の宗教 | 基本的な宗教観の理解 |
対象国の法律 | 最新の情報を入手する(会社設立、工場建設などには必須) |
通貨などの単位 | 通貨、単位など |
現地インタビュー | ターゲットユーザのインタビュー |
マーケット調査 | 現地での調査レポート |
ドキュメンテーション類のネイティブチェック | Webサイト、取扱説明書、カタログなどのドキュメンテーションは必ずネイティブチェックを入れて自然かどうか、ターゲットユーザに伝わるかどうかをチェック |
大切なのは「ターゲットとする国の持つ文化や商習慣、法律等を理解し、正しく貴社の商品やサービスを適応させることです。そしてそれに付随するあらゆるドキュメント類も適切に合わせていくこと」です。
「ローカライズ」と「翻訳」の違いについて解説します。前述のようにローカライズとは「貴社の製品・サービスをターゲット国の文化や慣習を考慮に入れ「現地語化」を行うことですが、翻訳はそこまでを考慮しません。
翻訳とは「元の言語で記載されている内容を異なる言語に置き換える作業」と言えます。
以下に具体例と定義をまとめます。
ローカライズ | 翻訳 | |
---|---|---|
定義 | 貴社の製品・サービスをターゲット国の文化や慣習、法律等を考慮に入れ「現地語化」を行うこと | 元の言語で記載されている内容を異なる言語に置き換える作業 |
具体例(単位の表記の違い) ※どちらも意味は間違っていないが日本人の場合はキロメートル表記のほうが理解しやすい | 例 英語:1 mile 日本語訳:約 1.6 キロメートル | 例 英語:1 mile" 日本語訳:1 マイル |
他国でのビジネスをスピーディに展開するために、以下のようなドキュメントやメディアは最低限ローカライズしなければなりません。
ちなみに、上記のローカライズ以外でも市場調査や、現地支社の設立登記、財務、法務、マーケティング資料や営業ツール、現地スタッフ採用などリソースの確保など、実際のビジネスをスタートするまでにはいくつものステップが必要になります。
しかしながら「顧客ありき、ビジネスありき」という面において、まず初めに着手すべきは、上述のローカライズ業務となります。ビジネスの相手がいないのに、支社を設立し、リソースを確保したところで意味がありません。
まずは貴社製品やサービスをターゲットに認知してもらうこと、そのための手段として重要なのは、「現地の言葉で正確に伝えること=ローカライズ」です。
特に昨今では、日本国内ではインバウンド需要、また世界的には新型コロナウィルスの影響による DX の移行やデジタルマーケティング、オンライン化が重要であり、より一層「相手に伝える」ことが求められています。
「ただの翻訳」ではなく、「相手に伝わる文章」をどうやって作るのかが非常に重要になっています。
いわば「多言語でのコミュニケーションの本質」が問われるようになっているといっても過言ではありません。
最近では「クリエイティブ翻訳」「マーケティング翻訳」「TransCreation(トランスクリエーション)」といった言葉が翻訳業界でも流行していますが、最も大切なのは「伝わる文章」を作ることです。
さらに言えば、ローカライズにおいて「伝わる文章」を作ること自体は目的ではありません。それはあくまで相手に伝えるための「手段」であり、目的は貴社の製品やサービスが対象国で計画通りにきちんと売り上がっていくことなのです。
このように今後もあらゆる企業にとってローカライズ業務は欠かせず、海外から日本への進出、日本から海外への進出のいずれの場合でも、正しいローカライズの必要性がますます高まっています。
マーケティング翻訳、クリエイティブ翻訳についての詳しい説明は以下のページをご覧ください。
ローカライズの成功は「相手に伝わる」ことですが、メディアやドキュメントごとに抑えておきたいポイントが異なりますので以下にご紹介します。
現在、iPhone や Android、iPad など、デスクトップやノートPC に依存しない様々なモバイル環境が存在します。PC ユーザ数よりモバイルユーザ数が増えたのもその一因でしょう。
つまり今後はモバイル、スマホをメインにローカライズを行わなければならないということです。まさにそこは無限のビジネスチャンスが存在しているのです。
弊社ではこのチャンスにスピーディに対応するため、Android や iPhone 向けのアプリのローカライズを積極的にお手伝いしております。
スピーディな開発とローカライズ作業。そして App Store や Google Play でアピールし、ダウンロード数を増やす―この当たり前のサイクルをいかに構築し、いかにスピーディに回していくのかが貴社のアプリローカライズの成否のカギを握っているといえます。
コロナ禍でより注目されているのが Web サイトですが、Web サイトのローカライズ業務はすべての企業において無視することはできません。
Web サイトローカライズで最も重要なのは、「ターゲット設定」と「明確な目的の設定」です。
「貴社のどんなターゲットに対して、何をどうやって伝えるのか?Web サイトのゴールは何か?」をしっかり計画した上でローカライズを行う必要があります。
グローバル Web サイト(ホームページ)構築をしている、もしくは予定のある企業は、この前提を元に作業を進めていくことが必須です。
チェック項目 | 日本側の自由度が高い (Local) | 本社の拘束度合いが高い (Centralized) |
---|---|---|
デザイン(見た目)とメッセージ | ・ブランディングの不統一の恐れ | ・ブランディングの統一感高い |
コンテンツ(必要なページ) | ・必要なページを見極めることで Webサイトの質が向上 | ・不要なぺージがあるとユーザビリティ低下 |
オリジナルコンテンツの有無 | ・日本のユーザが知りたい情報を掲載できる | ・グローバル単位でのニーズなので日本独自のニーズには対応できない |
翻訳の品質(伝わる翻訳かどうか) | ・オリジナルコンテンツと共に作り上げることでリーダビリティ向上 | ・刺さる翻訳ではないのでユーザの理解が薄い |
ユーザビリティ | ・必要なページとデザインを合わせることで使いやすい Webサイトに | ・グローバルのまま使用するので使いにくい可能性も |
更新・管理・運用 | ・CMS(Wordpress)等で進めることで自社運用が可能 | ・グローバル CMS で進めることで自社運用は可能だが権限や操作によっては外注化も必要に |
同様に、本社での Web サイト(ホームページ)の更新に伴い、各国の Web サイトも更新する必要があります。なぜなら必要な情報が適切に更新されなければ、企業全体としての収益に影響してしまうためであり、ROI を含め考慮に入れ、グローバルビジネスを展開しなければなりません。
販売におけるチャンスロスを最小限に抑えるには、リアルタイムで最新の情報を同期させるプロセスが必要になります。Web サイト(ホームページ)の構築とスピーディな展開によって貴社ユーザに最新の情報を提供することができます。
特に最近では、グローバル Webサイト(ホームページ)の構築は WordPress を代表とする CMS での構築が主流であり、キーワード、SEO 対策、時差、サイトの表示スピード、サーバなどの複合的なチェックポイントを抑えていくことが求められています。
※海外もしくは日本国内のどちらのサーバに、Web コンテンツを置くかの戦略的な決定が必要となります。
このように、キーワードや Web サイト(ホームページ)のタイトルを含めた SEO 対策を行い、さらにスピーディに Web サイト(ホームページ)を更新する必要があるのは、潜在的顧客を含め、どの国のどの地域にいる顧客に対してもすべて一定の品質をもって情報提供が求められるためです。
つまり Web サイトを貴社のプラットフォームとしてどのように活用するのか?という点に集約されていきます。
また近年は、オフィシャル Web サイトだけでなく、Facebook や Twitter、 Instagram を代表とする SNS サービスでの口コミなどもビジネスに影響を与えるため、SNS 戦略も同時に重要なものとなっています。
これらのさまざまな情報提供から、貴社サービスや貴社製品の認知度の向上、お問い合わせ件数(リーチ増加)の上昇、売上の増大を狙うというのが、最も大きな目的(コンバージョン)であることを忘れてはなりません。
弊社でもご依頼の多いケースとして海外製のソフトウェアを日本国内で販売するには、ソフトウェアの メニュー名やエラーメッセージといった「ユーザインタフェース」を日本語化する必要があります。UI(ユーザインタフェース)を中心に、現地に合わせた形でソフトウェアをローカライズするプロセスです。
文字コード(UNICODE や JIS、EUC、UTF 等)、ダブルバイトやシングルバイト対応などを考慮し、リソースファイルや XML ファイルを翻訳してエンジニアリングを行います。
また、Memsource や OmegaT、MemoQ、Smartling、Cloudwords などの翻訳マネジメントシステム(TMS)や SDL TRADOS(トラドス)を代表とする翻訳支援ツールなどを使用し品質を安定させ大量のボリュームを翻訳していかなければなりません。
これらのローカライズ業務はソフトウェア開発段階から関わることになるため、バージョン管理、プロジェクト管理も必要とされるため、実績が豊富な翻訳会社やローカリゼーションベンダーを選択すべきでしょう。